自転車で使う筋肉とは

ついにこのテーマを掘り下げようと思います。

というのは2018年に自転車による健康への影響を取り上げ『次回は筋肉についてお話するねっ』と予告しておざなりにしていました(汗。すみません。すっかり忘れていましたの。

さて表題の件ですが、普段、自転車を使うときって「歩くには遠いから自転車で行く(天気もいいし)」の理由が圧倒的に多いのではないでしょうか?続いて「買い物するのに荷物を載せられるから」「通勤通学で」「子供の送り迎えで」と日常生活のなんらかの理由で利用されているわけで、その後に趣味としての理由がズラズラと並ぶのではと想像します。

「ホンマかいな」

と、ここまで書かせて頂いて一抹の不安がよぎりましたので調べてみました。

1) 国土交通省「自転車の活用に関する現状について」 (2020年)
2) 内閣府「国民アンケート調査結果」(2010年)

1)の資料は最新、そして2)の資料は10年前。
この2つの資料を比較すると、コロナ禍前とコロナ禍中での自転車に対する大きな意識の差が見てとれます。先述の想像できる理由だけでなく『公共交通機関の利用を避けるため(コロナ対策として)』が新たに加わり、一気に「あなたが自転車に乗る理由ランキング」TOPに躍り出た様子。なーるほどですね。

日常に自転車を多用して感じたこととは?

今度は自転車を利用している方たちのリアルな声はどうなのでしょう。全国でも自転車王国といわれる埼玉県での自転車利用における自由意見書(延べ740件)をザザッとみると自転車への都市整備の不足などの声が多い中、一部「筋力の低下からアシスト自転車にしました」というご意見が入っています。他にも「健康のためにウォーキングとバイクライドをしてますが…(以降、交通に対する意見)」などもあり、良いも悪いも健康問題からの声がありました。

その自転車での健康問題については、以前に書かせて頂いた「」でご紹介していますが、要するに自転車は『(過度に乗らなければ)健康促進に効果がある』という結論になりました。なんでも『ちょうど良く適度に』が一番ですハイ。

足の運動になることはなるけど、歩行の筋肉とは違うんだ

しかし意識的に「適度なバイクライド」にするのは難しい注文でしょう。だって『自分の体でどれだけのチャリ利用すれば丁度いいのか』だなんて、そんなのワケワカメです。まさか坂道ダッシュでバッキバキに追い込む機会が必要なのか?この甘やかした&たるんだ肉体には…?という発想も、脇腹つまみながら思われる方もいるかもしれません(いないか)。

ただ一つ言えるのは、自転車での運動は有酸素運動に入りますので、20分以上40分程度の乗車を行うと、体調改善効果が出てくるかと思われます。もちろん2輪自転車だけでなく3輪自転車でも同じです。年配者やリハビリ患者での自転車(ペダリング)は、自立歩行が危うい方にとって無理のない脚力の改善に一定の効果が出ていますから、体重過多の方にはバイクライドはお勧めと言えるでしょう。

でも一つだけ言わせてください。

「ペダリングの筋肉と、歩行で使われる筋肉使用分布は違うから」

さぁやっと本題です。そのお話を以下に徒然とご紹介します。

● まず歩行の筋肉の動きをみてみよう

普段、我々が歩くときに使っている筋肉は、足の前の筋肉と裏側の筋肉を交互にバランスを取りながら進行方向に向けて使われています。下の図がそうです。こうやってみるとヒトの足ってすごいですよね。無意識に勝つ滑らかに歩行や走行できるんですから。しかも部品交換なく鍛えれば成長してくれるだなんて、高メカニズムのオンパレードで生活できているんですからね。

(出典:健寿ネット「【柔軟性コラム④】股関節が曲がるのを予防するには?」

● 自転車での筋肉はどうなんだ

今度は自転車でペダルを踏んでいる時の足の筋肉の負担分布をみてみましょう。するとおや…?何かが違うぞ…?

(出典:LOVE CYCLIST)

色分けされている部分が主に使われている筋肉群。歩行ではほぼ全般の筋肉を使用するのですが、自転車ではペダルを『回す』運動に特化するので、動きが少ない筋肉群が出てきます。

これはサドルの高さや車種によっても変わっています。

(出典:シマノ・通勤サイクリングラボ)

上のイラストでは、乗車ポジションの変化によるおおよその使用筋肉活動のデータからみたものです。詳しくは是非、通勤サイクリングラボをご覧ください。

こうみると乗車ポジションによって使われる筋肉群への負担は変わってくることが分かります。

見方を変えればスポーツ車両では使う筋肉割合が多く、よりパワーをペダルに与えやすい姿勢になっていることにも感心しますね。

いずれにしても自転車だけで健康管理をするのには、やや偏ってしまう可能性がありそうです。

理想的な自転車と歩行のバランスとは

よく『自転車は関節や筋肉への負担が少ない運動ができる』言われています。確かにその通りです。そしてハンドルを支える腕や握力も持続的に体を支えているので、少なからずとも全身運動にも影響されています。

しかし人間の体というのは『歩行&走行』目的で足の筋肉があります。歩くことをおざなりにすると、関節のクッションとなっている軟骨の弱体化につながります。高齢者が「膝が痛い」などの症状が多くなるのは、歩くことが少なくなり、同時に加齢による軟骨の減少もあいまって、さらに歩くのが億劫になるというスパイラルから。

であれば、自転車だけで「運動した」とは言い切れず、若いうちから適度にウォーキングやジョギングも併用していかないと、筋肉どころか関節の健康維持もできなくなることが想像されます。

ウォーキングとサイクリングをバランスよくすることが、長く自転車と付き合える秘訣かということになります。

ではどれだけの運動量を目安にすればいいのでしょうか?

これは非常に難しい定義論になっている様子です。というのはダイエット目的、スタミナアップ目的、筋肉量促進目的など、目指す目標によって様々なので、「自転車と歩行のバランス目安」が取りきれません。

ただcharichariの経験からの持論ですが『自転車は(歩くより)良いところづくし』ではないと思います。先述のようにヒトは歩くために足があります。歩くことが少なくなると骨の生育サイクルにも影響が出るでしょう。

事実、かかとで地面を踏み込む機会が多い人は、身長が伸びやすいです。バスケットボール選手、バレーボール選手、陸上選手など瞬発的な踏み込みがないと、ヒトの体は健やかには生育できないと思います。

それについても調べてみました。するとcharichariの持論は間違ってはなかったみたいです。

【解説】骨粗しょう症を防ぐ運動 自転車よりランニング・ジャンプがおすすめ

上の[解説]はNHK健康chのWebですが、やはり骨への負担が少ない自転車は適度にした方が良いかと思います。だって筋肉は骨にくっついているんですからね。骨の健康のためにウォーキングも取り入れ、さらに自転車で使われにくい筋肉管理もしてやることがベストだと言えます。

そのバランスが…本当は知りたいのですが、ね。

また陸上でもマラソンなどの長距離種目は、連続したカカトへの衝撃(?)の影響からか身長低下を招きやすい様子。お子さんがおられる方は、成長期にあまり長距離を走りこみさせるのは宜しくないかもしれません。

マラソンが体格に与える影響 (岐阜大学教育学部研究報告(自然科学))

charichariの場合は、週2ペースで7〜10kmジョギング。あとは通勤サイクリング(往復10km/5日間)という感じ。先日整形外科の先生に骨と筋金の影(X線で)を褒められましたので、今の私にとってこのバランスがいいんかなと思ってますが…さて?

やはりバランスよく適度にすることだなっと

「自転車は健康に良い」→自転車をガンガン乗る
「ジョギングは健康に良い」→ めっちゃ走り込む
「プロテイン摂取すると最高」→ 食生活まで変えちゃう
「筋トレでムキムキにっ」→ ジムでがっつりメニュー組む
「断食は体にいい」→減量兼ねて頻度多めに取り組む

…などと、熱しやすく冷めやすい方が多いと思いますけど、若いうちはいいですが中年期以降に過度に取り組むと、これらをあまり偏ってやると体調不良や怪我、病気の元になります。

確かに若々しくスタイルも良く見られたいのは万人の望みでしょう。しかし無理をすると内臓器官に負担がかかったり、筋肉なら肉離れや炎症などの障害を引き起こしやすくなります。

人それぞれ生まれて生きていきた環境と成長に応じて、体はそれに適応するために形成されているので個人別で体格も肉体質も違います。サイズ(身長)以上の筋肉をつけると、フレーム(骨)が耐えられずパワーに負けて関節痛にもなります。自分の「個性」をみた上で健康促進に繋がる適度な運動と練習をすることが、ヒトにはベストだと思われます。

そのバランスを見つめるには「試してみる」から始め、「継続できるように調整する」「一定期間、続けてみる」というような段階を踏んで、慣れさせていく方法がいいと思います。

その中で楽しく続けられることがあれば、きっと体も健やかになり気分展開にもなって、バランス良い自分なりのエクササイズになれるかと思います。

ということで。
自転車で使われる筋肉と、歩行などで使われる筋肉群はちょっと違うので、五体満足で健康ならば、自転車の脚力をあげたいつもりで鍛えるのではなく、他のスポーツと併用してバイクライドを楽しんでもらう方が、脚力全般&健康管理にもつながるしオススメよっていうお話でした。

ご参考になったら幸いです。

それではみなさん、今日も元気にいってらっしゃーい♪

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA