[ツール・ド・フランス 2021]世界三大レース、まもなく開幕!

2年ほど前、この「自転車整備のスス芽」でも毎週のように取り上げた、世界最高峰の自転車レース「ツール・ド・フランス」が、2021年は例年予定に戻り開幕される予定です。

昨年はコロナ禍から9月開幕にずれ込み開催されたが、やはりコロナ蔓延のためファンとしても盛り上がれない心情で見つめていました。

しかし今年は違う。日本はまだ「忍耐」風潮がはびこっていますが、欧州では「希望」という文字が見えてくる年になってきました。世界がこのレースからコロナ復興に向けた”Awaken”としてのメッセージを出すきっかけになれればと思うと、これはcharichariとしても記事に取り上げないといけません。

というわけで、2019年から2021年を迎えるまでの軌跡を紹介、そして今年の見どころをダイジェストでご紹介しましょう。

ツール・ド・フランスってなんだ?

1903年から始まったフランスを中心としたコースステージを、約3週間で35,000km前後と高低差2000m以上を走破する自転車レース。全部で21ステージあり、各ステージでは山岳などの起伏に富んだコースが用意されています。

「総合優勝」と「ステージ優勝」の2種類があり、総合優勝は「全行程でタイムが最も短い個人選手」が表彰され、ステージ優勝は「毎ステージでトップタイムの選手」が表彰されます。

他にも表彰タイトルはありますが、基本的にこの2種類を覚えておくと、レースも見やすいと思います。

J SPORTS(ジェイスポーツ)オンデマンド
(出典:Tour du france)
2021年のコース。フランス北西部からスタートし、パリが最終ステージとなる。
凱旋門の前でのゴールは感動的だ。

2019年のダイジェスト

これがマイヨジョーヌのジャージ。毎ステージで個人総合1位に送られる。次のステージで着用し、現在トップは誰かをわかりやすくしている。
(出典:wikipedia)

「マイヨジョーヌ」(個人総合成績1位の選手に与えられる黄色のリーダージャージ)が設定100周年を記念した大会としても、大会前から注目された2019。実際各ステージでも100周年記念を祝う企画も用意され、さらに新しい設定での起伏ある山岳コースなど、レースは例年以上に華やかに盛り上がるはずだった。

初日となるステージ1、ゴール1.5km前での大規模な多重落車事故。優勝候補でもあったディランの派手な落車には、見る者全員に「うわっ…」と言わせるほどの高速走行での事故。その落車事故の影響はステージ2にも。総合優勝争いにも関わるはずの有力選手ティボピノーの突然のリタイアには、解説者も驚きを隠せないハプニング。

一方「マイヨジョーヌ」着用争いも激化。
アラフィリップを中心に山岳コースでの争奪戦に拍車がかかる。24歳のイタリア人クライマー、ジュリオ・チッコーネが、ツール初のステージ優勝に加え「マイヨジョーヌ」に2日間袖を通す。しかし鉄人アラフィリップは、ステージ8で「マイヨジョーヌ」を奪還し、フランス国民の期待に応える。

ステージ19ではコースに土砂崩れや雹が降りレース中止。これによりレース中盤でのタイムがフィニッシュタイムとなり、アラフィリップが着用する「マイヨ・ジョーヌ」は個人総合で2位だったベルナルへ。アラフィリップはその後の逆転を目指すも奇跡は起きず、最後の第21ステージまで走り切ったベルナルがツール出場2回目&初の個人総合優勝を果たす。

…という感じでした。
ここまで読まれて、ツールドフランスは「開催期間が23日間と長い」「ロードレーサーの祭典なのは分かった」「マイヨジョーヌって名誉あるジャージなのね」「平地あり山岳ありのステージが用意されているのね」といういくつかお分かり頂けたかと思います。

誰かが『なんか自転車の箱根駅伝みたい』と、感想を聞いたことがありますが、当たらずとも遠からずです。むしろ日本人には分かりやすいたとえかもしれません。その箱根駅伝の出場する大学名がチーム名とするなら、ツールドフランスとイメージはオーバーラップしやすいかと思います。

上の動画はステージ1のダイジェストです。この動画以降、21ステージまでそれぞれのダイジェストがあるので、よかったらご覧ください。

2020年のダイジェスト

新型コロナ蔓延の影響から、9月からの開催になった2020大会。実際に開催出来るのかファンや選手は心配したが、見事全ステージを走破してパリ・シャンゼリセ通りまでたどり着けたのは、大会から全人類に向けた勇気あるメッセージだったのではなかろうか。

2020年の大会のハイライトは「戦後最年少覇者の誕生」「圧倒的なチーム統率が勝負を決める」だろうか。

タデイ・ポガチャル(当時22歳/スロベニア/UAE/チームエミレーツ)が、ステージ20で大逆転劇を見せる。それまでは「マイヨジョーヌ」着用していたスプリンターでもあるプリモシュ・ログリッチの圧倒的優勝だと誰もが信じていた(すでにこの時、2人のタイム差は約1分の差があった)が、ステージ20でタディは、プリモシュと2分近くの差をタイムトライアルで叩き出した。差し引きで逆転という結果と大会優勝者になったわけだ。

チームとして乱れなくステージ1から観客を魅せたのはチーム「ユンボ・ヴィスマ」。黄色軍団の集団統率はまさにサイボーグ並みにレースを展開していく。ここまで徹底されたら他のチームはレースをしずらい。ただ「ユンボ・ヴィスマ」も次第に個々の能力差がで初めて、後半は苦しい展開を強いられた。

2020年も山岳コースが多く、ドラマが多かったが、正直2019年までのように白熱感は全体的に薄くなった。それは新型コロナの影響からの大会関係者の不安と心配の中での運営、ファンだけではない全世界の視聴者の心配、選手の体調管理、各ステージでの感染状況など、どこかにどんな時でも「COVID19」がつきまとった。

しかし無事にシャンゼリゼを迎えられたことで、2020年大会はいつものツールドフランスとは違う別の感動があった。その感動は全世界でも報道され、2021年のツールドフランスへの大きな布石にもなった。

厳格な感染予防対策の基に開催された2020年。PCR陰性証明書の提示は関係者全員に必須。PCR検査がレースに間に合わなければ出走不可というルールもあり、出走チームからも「そこはなんとかならんのか」という声が多く出たそうです。混乱しながら最終日を迎えパリでゴールを迎えられたのは奇跡でもあり、支える関係者の努力の賜物だったと言えるでしょう。「マイヨジョーヌ」着用はむしろ関係者じゃないかという声も現地報道でありました。

今年の注目&見どころ

今年もコロナ禍中で開催されるも、2020年の開催実績を再検討して、より効率的で確実だと思われる感染予防対策をとった大会となります。その中で2021のレース特徴は以下となっています。

+「山岳ステージ」は6つ。山頂フィニッシュは3カ所
+「個人タイムトライアルステージ」では距離58kmが設定(過去2番目の長距離)
+チーム総合力が問われる構成に進化
+それでも2020年のように個人戦で逆転劇が起こるチャンスポイントあり

昨年と同様、通年の限界チャレンジ感は薄めですが、それでも総合力を問われる設定ですので、かなりのドラマが期待できます。

ここまで説明した中で、まだ不明瞭にしている点があります。
それは「個人とチーム」のお話です。ちょっと説明しておきましょう。

自転車レースでは「チーム戦」が基本となります。これはマラソンのような感じで、同じチームから出場した場合、お互いのペースと体力消耗を考慮しつつ、先頭を交代で走ったり、他チームのオーバーパスを抑制する(妨害ではなく)動きをしたりします。山岳コースでは上りや下りでそのチームワークは、アップダウンの激しいコースだけに駆け引きが非常に重要な意味となります。

対して「タイムトライアル(TT)」では、このチーム戦術はなし。個人能力を存分に発揮出来るステージとなります。この感覚はクルマのレース「WRC (世界ラリー選手権)」のSS(スペシャルステージ)と近しいニュアンス。目的は誰が一番速いかです。

この2つをメインにして「マイヨジョーヌ」があり、さらに他「マイヨ・ヴェール (ポイント賞/各ステージの中間通過順位をポイントとして加算)」「イヨ・ブラン・ア・ポア・ルージュ(山岳ステージのランキング1位に送られる)」「マイヨ・ブラン(25歳以下選手中の1位に送られる)」など他、複数タイトルがあります。

黄色が「マイヨジョーヌ」、緑が「マイヨヴェール」、赤玉が「イヨ・ブラン・ア・ポア・ルージュ」、白が「マイヨ・ブラン」のジャージ。特に緑ジャージはスプリント最強の称号とも言われ、選手にとっては憧れる色でもある。(出典:cycle life)
2021年は19チームの参加。
詳細はJ SPORTSのH.P.でチェックだ。
(出典: J SPORTS)

ただチーム総合でのタイトルは特にありません。
この理由は歴史に関連してくるのですけど、かつて出場条件として「ナショナルチームのみ」の出場に限定されていました。しかし選手によってスポンサーの都合により出場が出来ないなど(ジャック・アンクティルレイモン・プリドール問題/1961)の事情から、1962年以降は「トレードチーム(スポンサーチーム)」の参戦を許可。現在のチーム形態になっています。

つまりチーム優勝として表彰すると、スポーツではなくなる側面も見えてくるので、この辺は選手個人で着用しているジャージなどにスポンサー名表記でPRしてもらうという意図があります。これはモータースポーツでも似たような部分があって、チーム(ワークス)から選手が着用するレーシングスーツ、そして車両へのスポンサー名は表記OKですけど、スポーツとして見るので個々の選手の健闘による表彰を重視しています。結果「1-2-3フィニッシュ」になったら、それはそれで素晴らしいと称えればいいのです。

そして最後に「日本人は参戦しないのか?」ですが参加しています。でも毎年ではありません。近年でいえば新城幸也さんが2017年まで参戦していましたが、それは海外チームでのプロツアー選手として契約選手だったからこその出場チャンスとなりました。日本でのロードレース事情はヨーロッパとは文化的にも大きな違いがあるので、結果的に新城選手のような参加でしか難しいかもしれません。

さぁ、ここまで読んで下さった皆様は、2019と2020の映像と合わせて「ツールドフランスの見方」が幾分、理解できたのではないでしょうか?

クルマやオートバイのレースではないタイトルや開催期間なので、ちょっとレース観戦感覚が分かりにくいことから、ツールドフランスはとっつきにくいかもしれませんが、23日間も開催しているレースだけにドラマが山ほどあります。

またテクニカルな要素もありますが、モータースポーツほどではありませんし、むしろヒューマニティ溢れるシーンがたくさんあるので、映画好きの人がツールドフランスを見るとハマりやすいです。

ロードバイクに興味なくても面白いのか?

個人差はありますが、charichariとしては「ロードバイクに乗っていなくても楽しめる」と思います。

というのも、あのフランスです。コースはフランスの田舎町だったり、田園だったりスキー場だったり…なにせ風景が可愛いしステキなんですよね。日本にはない環境で「わー綺麗なー」とつぶやいちゃうことが多々あります。逆に「げっっこんな急坂登んのかよ」って引くときもありますが(笑。

近年、ツールドフランスの映像制作チームの制作力はめちゃくちゃすごく、レース当日の数時間後にハイライト動画をYoutubeにUpしたりするほどのレスポンス早いです。見逃してもポイントは抑えられると思うので、衛星中継とともにチェックするのも良いでしょう。

レース観戦をするならココだ

今年もがっつり専用ページを用意されている。是非ご覧頂ければっっ!!
(出典: J SPORTS)

毎年、日本のファンのためにと言っても過言ではないほどの充実な情報を届けてくれるのはココ「J SPORTS」。国内最大4チャンネルのスポーツテレビ局として有名です。安定かつ安心のツールドフランス中継はもちろん、日本ではオンタイムで見れないスポーツや、普段の民放やNHKでもチェック出来ないコンテンツを多く放送しています。

J SPORTS(ジェイスポーツ)オンデマンド

モータースポーツも好きな方なら、クルマもバイクもチェックできるし、ヨーロッパサッカーはもちろん、メジャーリーグなど沢山楽しめるので、この機会に契約しておくといいでしょう。charichariは仕事が終わって帰宅したら、大体…ビールとつまみと J SPORTSですね(笑)。バラエティ番組を全然見なくなりましたねぇ。

ま、とにかく自転車が好きでツールドフランスをチェックするのは当然かもしれませんが、21話完結のリアルスポーツドラマを観るという観点からもオススメのツールドフランスです。この機会に是非、ご覧下さいませませ♪

それでは今日も元気にいってらっしゃーい♪

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