変速機まわりのお話

さて今回は自転車によっては付いている「変速機」について、解剖をしてみたいと思います。久しぶりですね「解剖」コラム。ロードバイクやクロスバイク、MTBからミニベロ、シティサイクルまでついている変速機ですが、一般的にどんな仕組みなのか…理解している方は少ないかもしれません。

またメカニカルなギア部品は理解をする必要はなくても「走れる」し、不具合が生じたら「自転車屋さんに見てもらう」からでしょうが、街中で時々見かける自転車で、よく『(チェーンもギアも)まっ茶っ茶』な方がおられます。

もちろんそれでも「走れる」のですが、ジャリジャリと音を立てて走っている姿をみると、自転車がかわいそう…とかも思いますが、それより…

「あんた、体力を無駄にロスしているで」

 

と声をかけたくなります(笑。自転車は乗り物です。『スッと走って、ピタッと止まる』が大原則です。しかし快適でなかったら事故を誘発します。ギアの不具合は、まぁまぁ重要問題です。これを読んで是非、整備して頂けると嬉しいです。

 

 

 

●ギアを大まかに理解しよう

まずここから理解して下さい。

「ペダルを踏み込んだ動力は、前ギアから後ろギアへ伝わり、タイヤを回転させる」

 

(出典:やさしい実践 機械設計講座)

上のイラストを見て下さい。大きなギザギザの円が、ペダルからすぐにある前ギア。小さな方が後輪側のギアとした場合、両方のギアがチェーンを通じて回転する仕組みなのは分かりますよね?

そのギアとチェーンが錆やたるみ、もしくは、つっぱり気味だとどうなるか?

+ 錆          … 回転がスムーズにいかず、抵抗力が増す

+ たるみ     … 回転で生じる振動により、ギアからチェーンが外れやすい

+ つっぱり … 双方が引き寄せ合う力が生じ、軸受けなどの損傷に繋がる

ということになります。

 

さてこのシングルギアでの「基本」が分かって頂ければ、変速機なんてチョチョイのチョイです。

…ってホンマか?

 

 

●変速機はギアの大きさによって回転数を変化させる機械

変速機という名称ですから、結果的に速度が変えられる機械です。どうやって変えているかというとギアからチェーンを外しているのです。だからディレーラー( Derailleur : Derail / eur  ←つまり脱線させるもの、脱線機)っていうんですよね。

…ほら、これだけでも分かりやすいでしょ?

 

つまり大きいギアから小さいギアまで、それぞれを「脱線」させながら回転数を変化させ、結果、ペダルの負荷を変化させています。その効果で私たちは「軽い」「重い」という感覚を得られています。

外装変速機はスポーツ系車両に多く、ママチャリは「内装式」が装着されている。

 

変速機(ディレイラー)が進行方向を見て「左右」に動くことによって「脱線」し、各ギアの変速を促します。この変速機で生じた各ギアの大きさに応じて、回転する比率が違ってきます。この比率から大方の速度域が計算もできます。

計算式については、ちょっと難しい話になります。ですので、最近はWebでその説明をされているサイトがありますので、そちらをご紹介しておきます。もしご興味ありましたら、一度ご覧ください。どんな時に使えるかというと…『新車購入時での速度計算』に役立つかと思います。

自転車探検!

 

一方、「内装式変速機」はママチャリに多く見られます。このギアシステムは革命的と言えます。しかし説明が複雑になるので、ここでは『ギアの回転差を応用した変速機』とだけ、お伝えします。

しかし『そんな広義なお話でまとめるのは腑に落ちない。あなた自転車ブログ書いているのでしょ』という方、おっしゃる通りです。ちょっとだけお話しましょう。

 

▼内装式変速機の構造は複雑だ

内装式変速機は、後輪の軸に装填されている変速機です。このシステムは回転するギア比を変化させています。内装式の利点は何と言っても『汚れにくい』こと。逆に難点は『重いこと』です。外装式変速機に見慣れた私たちは、内装変速機はメカメカしくってワケワカメ。この感覚はクルマのミッション構造に近いので、車が好きな方には『なるほど』と、理解がスッと入りやすいかもです。

 

 

 1. 車軸にメインギア(太陽ギア)があります。

 2. その周りにサブギア(遊星ギア)があります。

 3. さらにその外周にリングギアがあります。

 4. これらの3つのギアが回転比率を変化させつつ、動力を伝えています

 

 

 

● 変速機によって変化するギア比率とは?

先ほどのギアの仕組みが、少々?理解して頂いたと仮定して、話を進めます。

変速機の作動によってギアがチェンジする。特に外装式変速機の場合、ギアからギアへDe-rail (脱線)させることで、クランクギアとのギア比の差をつけていく…ってあれ?ちょっと分かりにくい?…あー、ギア比の説明が必要ですね。これは言葉よりも図を見てもらった方が理解しやすいかと思います。下の図をご覧下さい。

 

 

つまり「回転側のAギアが、駆動側のBギアを、ぐーるぐるさせる差」というのがギア比です。ほら理解できましたでしょ!?

で、そのギア比を変えてやる機械が変速機であり「ディレーラー」なわけです。外装式の場合、大きい後ろギア(1段目)が、同じ回転数に近いので軽く、小さいギアは回転が多く必要とする…タイヤが多く回るので「重く」なります。

 

ちなみにその大きさや歯数によって、回転数と共に計算してやると、その自転車の最大速度が想定できます。ミニベロ、クロスバイクなどのブランド系スポーツバイクでしたら、おおよそ40-45km/hくらいが最大速度として生産されているものが多く、有名ロードバイク系のものでしたら、50-55km/hくらいまで出せそう…などと、ギア比から計算できます。

 

 

 

● 変速機のメンテナンスとは、どういうものなのか?

内装式は、その複雑性から初心者の手に負えるものではありません。言わずもながら不具合生じたら「自転車屋さんに行ってください」ですが、外装式はメンテナンスがしやすいので、とりあえずその説明を主にしましょうか。

 

▼基本は「古い油は綺麗に除去し、新しい油を注油」する

これしかありません。これだけでギアの磨耗からディレーラーの寿命を伸ばします。ディレーラー プーリー(小さいギア)に、よく固形化した汚れが付着していることがありますが、こちらも綺麗に取り除いて下さい。使い終わった歯ブラシで、ソリソリしてやると取れることでしょう。もちろんその時、パーツクリーナーの噴射も忘れずに。

 

綺麗になったら、各所に注油をします。注油ポイントは「可動するところ全て」です。分かりやすいでしょ。

 

それが終われば、テスト走行して、オイルを馴染ませてやって下さい。以上が日々のメンテナンスです。これを月2回ほど、チェーン油の状態と合わせて目視点検し、だいたい月1回くらいのメンテナンス…が、現実的なのかもしれません。但し、屋根なしで駐輪している場合は、話は別です悪しからず。*出来れば自転車カバーをかけてやりましょ

 

 

▼少しズレや、うまくギアにチェーンが移動してくれない場合

調整するのですが、この調整は少しコツが入ります。「何段目が入らないのか、もしくはどこでチェーンが外れやすいのか」の症状によって変わってきますので、自転車屋さんに持って行って下さい。おおよそ¥800前後だと思います。保証期間内なら無料で対応されるショップさんも多いです。

 

 

 

●変速機周りを綺麗にしてやると「デキる自転車」になれる

ロードバイクなどの趣味性が高い自転車をお持ちの方は、この変速機周りのメンテナンスは怠りません。なぜかと言うと「磨耗が激しい部品だから(高い部品つけちゃったから)」…なんて、現実的な答えはアレですけど、この周辺部品が綺麗だと『きっちりと愛情注いでいる → オシャレさん』という理論が発動。

  キラリと輝くスプロケ&チェーン、綺麗なディレイラー

この「3種の神器」とも取れる後輪メンテナンスの真骨頂が出来ると、「おっ自転車好きなんだ」と見られ、かつ自転車オシャレさんになれます。男性なら女性からモテますし、女性なら自転車好き男性が近寄ってきます。7割ホントの話です。恋人募集中の方、騙されたと思ってやってみて下さい (但し3割は”まやかし”になる可能性があります)。

 

 

 

いかがだったでしょうか?

ディレーラーの世界は、ギアの世界と共々なかなか奥深いです。語り出したらキリがありません。今回の記事で少しでも興味を持ってもらえれば幸いです。

 

それでは今日も、張り切っていきましょうっ!!

 

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA