自転車ボルト(ネジ) 〜その2〜
さて前回の「自転車のボルト&ナット 〜その1〜」では、六角ボルト(ネジ)の種類とサイズ、正しいトルク(締めつけ負荷)のススメをお伝えしましたが、今回の「その2」は『オススメするボルトとは』をご紹介しましょう。
いいボルトやナットってなんだろう?
難しい疑問ですよね。普段ボルトやナットに注目することは生活の中では、ほぼ皆無ですよね。
しかし改めて普段の生活において、ちょっとだけでもボルトやナットの特性を知っておくと、何かと便利…つまり流用出来たりします。*流用については、ボルト製品の規定値範囲を十分ご注意ください
まず良いボルトと私たちが言える条件とは、こんな感じじゃないでしょうか?
・錆びにくい
・ネジ穴がつぶれにくい (なめにくい)
・「軽いけどしっかりしてはるっ(関西弁/しっかりしている)」製品
上記3点が思いつくところでしょう。
もちろん正解です。ただもう一つ大事なことがあります。それは『確実な締めつけ』です。
確実な締めつけとは
詳しい話は割愛しますが、簡単に言えばボルトは歯型の渦が、オスとメスともに溝を作っています。この溝たちに均等に張力引力を働いてもらわなければなりません。この張力と引力の関係が崩れると、ボルトの締めつけ効果は本来の能力以下となります。* 締結力(ボルト軸力)の低下
自転車ボルトで、締めつけが正しくないと…
振動などの原因で、部品の落下や周辺部品の破損を招く
当たり前の話ですが、ゆるいもしくはゆるくなってくると振動などで分解する恐れがあります。締め付け(トルク)はタイヤの空気圧と同じように定期点検が必要です。逆に強すぎるとボルトヘッドの破損、周辺部品の損傷を招きます。
以前も紹介しましたが、測定器が付いているトルクスレンチは便利。こちらはデジタル表示ですので、規定値通りの締め付けをするには大変わかりやすいです。慣れてくればこれで締めた感覚が基準になり、ほぼ同じ長さの工具なら測定器なしでも作業できるようになります(とは言ってもすぐには出来ませんが)。
ワッシャーをちゃんと使おう
ボルトとナットのお友達…と言っても過言ではない、もう一つの部品があります。それは「ワッシャー」。整備をする際「なんだこの平たいドーナツ部品は?」と思われた方も多いのではないでしょうか?ワッシャーの役割は『緩みどめ』『部材損傷の保護』『部品の落下防止』と、非常に大役を担っています。
自転車にも多くの場所でワッシャーが使われていますが、軽量で簡易な機械製品であれど路面振動を大きく受ける車両につき、安定した固定をするために使用されています。ボルトとナットだけではなく、ワッシャーも是非、大事に扱って下さい。
安心できるボルト製品とは
前回の「自転車ボルト(ネジ) 〜その1〜」でお伝えした通り、日本のJIS(日本工業規格)基準をクリアしているものなら、ほぼほぼ問題ないですが、まれに「え?ちょっと…」と疑ってしまうものがあります。
上の「ボルト・ナットゲージ」は、大きさを測定できるプレート型計測器だ。
ここまで揃えなくても...と思われがちだが、一家に一枚あると非常に重宝。
自転車だけでなく家具のボルトナットでも大活躍。お店に行く前にサッと確認できるのだ。
判断の一つとしては、ネジ穴やナット角がすぐに欠けてしまう(ナメてしまう)もの、あるいはボルトを装着し直した際にスムーズに噛み合ってくれないなど。滅多にないですが、過去に規定トルク値前にネジ首がポキン…がありました。
これらは使用して分かった例ですから、さすがに購入時は分かりません。
ですので事前判断するのに参考になるのが「価格」。安かろう良かろうボルト&ナットは、あまり期待しない方がいいかもしれません。それを踏まえてJIS基準であるかどうかパッケージなどで確認すると、ほぼハズレに当たることはないかと思います。
交換時期はあるのか?
あります。破損したら交換です。
…なんて分かりきったことではなくってサビ、ネジ穴やナット角のナメなどの場合は、正常なボルトやナットに交換してください。寿命については環境差によりますし、それなりの計測機器が必要になってくるのですが、一般的にはネジ山の破損や金属片&粉(ネジ山を指で一周なぞって、キラキラと細かな粉末が付きがち)が確認出来たら、交換をする方がいいでしょう。
「でもすべてのネジを外して確認するなんて無理すぎるっ」
そのとおりです。なのでチェックする場所は「ボルトやナットにとって、負荷がかかりやすいところ」を中心にするだけでいいです。例えば…
1.サドル周り
2. 前後車輪周り
と、チェックしやすい箇所から手はじめにやってみるといいかと思います。
ボルト点検していると他の問題も見つかりやすい
でもチェック中に車輪周りにボルトなどだけではなく、何かしらの異変や違和感が見られることがあります。例えば車輪を回しつつ細かい部分のチェックをしているときに、ホイールの歪み(振れ取りが必要)や聞いたことない異音が聞こえるなど、付加発見される時があります。
もちろん個人で対応できる方なら、それはそれで対処して頂ければ良いかと思いますが、対処できない場合はぜひ自転車屋さんに相談してください。
自転車向けボルトの選び方
本来ならもっと語り尽くしたいのですが、自転車から外れたお話にドンドンなっていきますので、残念ながらこの辺りまでの説明で止めておきます。でもボルトやナットの整備点検の大切さをお判りいただけたでしょうか?
最後に自転車で使うボルトの選び方をお伝えします。
最近はホームセンターでも簡単に入手できますが、先日この記事を書くのにリサーチしに行ったら、記事としてオススメするには判断が難しいものが多かったです。自転車とはいえ「車両」ですから、選び方を簡単にお伝えします。
1.サイズ(太さと長さと並目)をチェックする
実際にボルトを持って行って合わせるといいでしょう。
2.ISO or JIS規格の製品かどうか確認する
分からない場合、海外製品ではなく国産ブランドを選ぶ方が良さそうです。
3. 鉄系素材「S45C」、もしくは「SCM435」を選ぶ方がいいかも
材質のお話ですが、鉄もしくはステンレスをオススメします。
4.チタン系は高価だが、装飾込みで考慮すればアリな部品
鉄と比べ軽量だが、同程度の強度の持つチタン。鉄系以外で考えるなら是非。
この4ポイントを考慮した上で交換用ボルトを探していくといいでしょう。
charichariがオススメするボルトやナットを以下にご紹介します。
▼ トラスコ中山 (http://www.trusco.co.jp/)
プロツールカンパニーとして現場ツール商品を多くリリース、プロショップなどにも販路確率している企業。ステンレス系ボルト製品の「低頭六角穴ボルト」は狭スペースでの取付を考慮した製品だが、普通に使ってもオシャレにみえる。もちろん品質も良いのでオススメ。
▼ 龜旅製作所
どうしても怪しく見えてしまう中国製の中でも、このメーカーは安定した製品づくりをしている様子。チタン合金(64)のボルト加工をするくらいだからテーパー加工も綺麗。日本では通販を利用する方が手軽で良いのだが、納期に2週間ほどかかるのが難点か。それでもチタン製品でこの価格、品質なら良しだろう。
いかがでしたか?
ボルト、ナットという小さな部品でも手を抜かない&抜いちゃダメ、命に関わるものだし大事な製品なんだよということは分かって頂けましたでしょうか?
では今日も元気にいってらっしゃい!