シフト&ブレーキワイヤーは定期的に点検しよう

みなさんこんにちは。
さて今回は、自転車のブレーキ、シフター(段切替機)とディレイラー(変速機)をつないでいるワイヤー(鉄線)の点検についてお話しましょう。

自転車部品でも少しアレ…ちょっとマイナーというか「付いていて当たり前」というか、普通にある部品だし、そんなもの点検だなんて、なんぢゃらほい。もしそんな部品が壊れたらもう素人には無理でしょ的なことを思っちゃうかもしれません。

それは「調整が大変そう」と思われて、脳裏に不安や心配が脳裏に大きくよぎるからではないでしょうか?もしその心配があるなら、定期的に「見るだけ点検」をするだけで良いかと思います。目視点検は故障を未然に防ぐ、重要な点検の一つですよ。

では「ビギナーでも出来るワイヤーの点検方法とは?」を早速、ご紹介していきましょう

1.ワイヤーは大きく分けて2種類ある

最初にお伝えしておくことがあります。趣味性&専門性の高いロードバイクでも共通するお話も多分にありますが、当ブログは原則、シティサイクル〜一般的スポーツサイクル車両を中心にお話を進めているので、ご承知の上、以下お読み下さい。

自転車に使われているワイヤーは、どんなものがあるのか?まずはここを知っておくことが大切です。

・ブレーキワイヤー
前後タイヤの制動を伝達するための部品。ハンドル操作&制動制御運動が頻繁に行われるため、外側のナイロン(アウター)の内径には伸縮性が高い螺旋状に編み込まれている。インナー(銅線)は細い鉄線が束ねられたもので、おおよそ「1.6Φ(ファイ)」が汎用されている。アウターとインナーがそれぞれ重要な役割を担いつつ、双方で制御運動を助けている。

・シフトワイヤー
段切替機と変速機を繋ぐ部品。ブレーキワイヤーと同じ環境下に晒されているが、直線的な運動(段を上げる&下げる)が全てにより、インナーは細い鉄線が円周形状に束ねられている(太さはおおよそ1.2Φ)。アウターはフレームに干渉しないためのカバー的な役目、もしくはワイヤーの運動をスムーズに行わさせるための導線(ワイヤーを曲線化)及び保護として、ナイロンチューブの内径にワイヤーが仕込まれ、中心部分にインナーが貫通できるようになっている。

難しい話になっていますが、つまりは「ブレーキワイヤー」と「シフトワイヤー」は違うものということを知って頂ければと思います。

2.ワイヤーはどんな劣化をするのか

ワイヤーの違いが分かって頂いたところで、もう一つ注意するところがあります。それは「タイコ」と呼ばれるフック的役割をしている太鼓のような筒型コネクターです。

シティサイクル用のブレーキ用インナーワイヤー。汎用性が高く、ホームセンターでも400円程度で購入できる

この「タイコ」の形状にも個体差や、変速機の種類によってワイヤー製品も複数あります。「三段変速用」「1.6m用」「1.8m用」「6段変速機用」など、汎用性が高いシティサイクルでも、車両によって変わってくるので、ご自身で交換作業に挑まれる方は、長さだけではなく、タイコの形状にも十分に下調べをしてから購入してください。

シフト用のインナーワイヤー。写真では見辛いが、タイコの形状と細さがブレーキ用と少し違う。

ところでこのワイヤーたち、どんな劣化をするのかというと…こんな感じが一番、多いのではないでしょうか?

▼アウターワイヤー編

ナイロン製の表皮部分がパリパリに劣化。螺旋状のワイヤーが露出し、ひどい場合は螺旋状部分も錆びて捥げかけている。規格サイズとしては、4mm〜6mmの外径サイズが多い。

▼インナーワイヤー編

ブレーキアーム、もしくはディレイラー付近でのインナーワイヤーが露出している箇所で、細い鉄線がほころび断線、または錆びが侵食してきている。基本的にブレーキワイヤーは1.6Φ、シフトワイヤーは1.2Φの太さが規格サイズ。

特に屋根がない場所での駐輪を余儀なくされている方は、ブレーキワイヤーもチェーンなども錆びやすく、太陽光で劣化しやすくなります。でも「そうしか駐輪できない」という方も多数おられますので、可能であれば自転車カバーで守ってやるといいのですが…メンドくさいですよね、うーんどうしようか…。

話を戻して、これらに付随する症状が見られると、交換は早めにされた方がいいです。特に坂道が多い環境にお住いの方は、ワイヤーが走行中(下りなどで)断線し、思っていたよりも制動距離が伸びてしまい、事故を発生させてしまう恐れがあります。

3.ヤバそうなワイヤーの判断基準

先述の通り、錆や編み込まれた鉄線のほつれなど、明らかに「劣化」が表面的に見られると、すぐにでも交換することを強くお伝えしますが、実はそれ以外でも突然に断線をするケースがあります。その例がこちら…

根元付近からブチギレていますね。ワイヤー自体はまだ健康っぽく見えますが、思っている以上に過酷だったのか、もしくは調整時のテンションが強すぎたのか…という断線状況です。

どういうことかというと、これは理科の慣性の法則なるお話で「テンションがかかっている紐を急に引っ張ると、引っ張った側の根元側が切れる」と同じ。シフトのテンション調整ダイヤルがシフター側が強いのか、もしくはディレイラー側が強すぎなのか、いづれか側のテンションが過度に偏っていると、このような断線症状が見られます。

またシフター側は1速にシフトダウンしたり、6速もしくは7速にシフトアップしていくなど、引っ張る動作機会が多い場所です。シフトチェンジをよくされる方は、シフターにかかっているワイヤーを、シフターカバーを定期的に開けて目視点検することをオススメします。

開けるのに少々面倒なシフターもありますが、シフターのカバーを開けて、先の写真のようなワイヤーの根元(タイコ側)付近の鉄線をチェックして下さい。そして束ねられている細い鉄線の何本かが、ほつれているなどの症状が見られたら、すぐに修理する準備をしましょう。

ただこれはシフトワイヤーなので、すぐに事故に直結するケースは比較的、考えにくいものですが、ブレーキワイヤーが同じような症状の時は、大至急修理となります。

ブレーキレバーを裏面から見ると交換しやすいようにタイコホール、ワイヤースペースが確認できる。このワイヤースペースからチェックするのもよし、もしくはブレーキレバーを引いた状態で、むき出しになったワイヤーをチェックするのもよしだ。

ブレーキワイヤーの根元チェックは、シフトワイヤーに比べて見やすいものなので、お出かけ前の乗車点検の一つに取り入れていただけるといいかと思います。

4.自分で交換するより、自転車屋さんにお願いしよう

ビギナーの方がご自身でワイヤー交換や修理するのは少々、慣れが必要ですし、また制動装置として命に関わる重要な部品でもあるので、「おかしいな」と思ったら迷わず自転車屋さんへ相談して下さい。

ではどのくらいで修理交換をしてもらえるのか…ですが、おおよそのブレーキワイヤーの修理交換相場は「約¥1,000 (工賃/部品代含)」です。ここから消費税がどうなるかって感じかと思われます。シフトワイヤーも同じくらいなはずです(ロードバイク/クロスバイクなどは要確認)。

5.車両による故障修理の頻度差はあるのか

あります。シティサイクルなどの通称「ママチャリ」は、各部それほど故障頻度は高くない傾向があります。これは近隣しか乗らないという距離や、走行速度の低さと比例しやすいのかなと感じていますが、ブレーキを多用する環境(坂道が多いなど)や、乗車されている方の走行特性次第に限り、ワイヤー劣化とブレーキシューの磨耗度合いも同じく比例している傾向があります。

そんな傾向に近い感じで…思うのは、スポーツ系サイクル車両のシフトワイヤーは、段切り替えを多用されるライダーが多いので、テンション緩急が激しく、断線しやすい傾向を感じます。趣味性が高いロードバイクはもちろん、ロードバイク部品を流用したクロスバイク、ミニベロ、そしてそこそこのブランドMTBなどでは注意が必要です。

一応、補足しますが「価格が高い自転車は故障しやすい」と言うことでなく、競技などでの使用目的で開発され、走行条件を限定したコンセプトの自転車は、公道仕様にモデファイ(修正)したレプリカモデルが多いです。シティサイクルのような全天候型、かつ万能的に製造、さらに汎用性高い部品で組み上げられたものとはコンセプトが違う、言うなれば「ものが違う」のです。

例を出すなら、高速走行から低速、停車へのブレーキングのテンション度合いを比較してみましょう。ロードバイクは50km/hを出すことは比較的、楽に出せますが…ママチャリでは無理です。必死に漕いでも35km/h前後でしょう(競輪選手でママチャリを漕いでもらったら40km/hオーバーしたようですが)。

その車速からの停車への制動負担は、ブレーキワイヤーだけでなく車両全体にかかる負荷を思うと、修理交換が必要となるものですし、同時に変速する機会が多い車両や乗り方だとシフトワイヤーも負荷がかかります。

それにより消耗部品などの交換頻度はおのずと比例するということから、速度が出やすい車両は注意が必要だという意味です。

つまり、それぞれの良さ、楽しさ便利さがあるので、それに応じた点検修理があると思えば、おのずとお判り頂けるかと思います。なので、車両による故障頻度の差は「あります」。でも日々の点検はどの車両にも必要なのは共通です。

いかがだったでしょうか?
参考になれば幸いです。

それでは今日も元気にいってらっしゃいっ♪

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA