「最近、自転車が重い気がするの」そんな方にはコレっ!
いい自転車の紹介や、怪しい部品通販ではありません。真面目に「整備」のお話です。この『自転車がなんだか重いんだけど』という相談、時々あります。
”何か重い部品をつけたわけでもないし、ちゃんとペダルを漕ぐと変わりなく進んでくれる。そりゃ少しはサビくらいあるけれど、それと重さは関係ないだろうしさ。もしかして汚れ!? んなわけないでしょ?ブレーキも当たってないし、空気を入れたのになんかスッと行かないっていうか、とにかく重いのよねぇ何なのよ、ねぇ?”
これ、違和感を感じて相談を受けた時のコメントですけど、いやすごいですよ。向かいのおばちゃん。普通、毎日のことだし気づかないまま乗っている方も非常に多いですが、ご自身の体感と違和感があったんでしょうね。普通に僕でも分からないかもしれません。
●その原因はここにある
ブレーキシューも障害されてない、空気圧も問題ない。普段と変わらないのに何故か進まない。踏み込む度に脚力がいる気がする。そんな気がする5秒前の方は、以下を疑ってください。
1. ハブのグリスアップ
前輪後輪とも、フレームとホイールの中心部分で接点がある箇所、つまり「車輪の軸」は、単なる鉄の棒だけでなく、小さなB.B.弾のような金属の玉が十数個入っています。それを滑らかに回すために『グリス』という、クリーム潤滑油があるのですが(まるでヴァセリンみたいな粘度のやつです)、これが劣化すると硬質化します。
硬質化しているかどうか診断する方法は簡単。前輪、後輪とも空転させるんです。硬質化していたら、回転がすぐに止まります。グリスが劣化や硬化していなかったら回転は止まりにくいです。
一度試してみてください。
このグリスアップの方法は、HOZANさんの動画をご覧ください。わかりやすいですよ。
2.ホイールバランスの調整
ホイールに細い針金が、車輪軸から外周に向けて装着されているのが「スポーク」と呼ばれる部品です。このスポークは、基本的にすべての張り具合(テンション)は均等に設定されています。このバランスが崩れていると、ホイールのよじれやタワみなどの影響から、高速回転になるにつれブレます。これを調整するのに「振れ取り台」があれば便利ですが、ない場合はホイールを自転車に装着したままでいいので、回転させて見てください。
ブレているかどうかの基準にする場所は、フレームの「チェーンステー」と「BB」の溶接部分ならホイールとステーとの間隔が狭くてわかりやすいです。
また重量バランスも影響されます。この重量バランスが狂う原因は、装着しているタイヤのバランスが元々、取れていないからです。これはどんな新品タイヤでも発生します(おおよそ+ ー 5gと言われていますが)。ある箇所が「+5g」なら、他の場所が「−3g」ということもありえます。その加算バランスがホイールバランスに影響するということです。
同時にバランスを取れても、日々の乗車から段差などで新たに狂うことがあります。期間を決めて定期的に見てやることがオススメです。チェックの仕方は、下記の動画のような方法で行います。
振れ取り台がない場合は自転車をひっくり返して、前輪のフロントフォークを代用するといいでしょう。
3.B.B.のグリスアップ
こちらはペダルがフレームに装着されている部位ですね。このクランク部分にも、先述のホイールのようなベアリングなどが装備されています。ここのグリスアップをすることで、回転抵抗が解消されて軽くなる印象を感じることでしょう。
またまたHOZANさんの動画で手順を紹介されていました。参考にご覧ください。
4.そもそものタイヤが重い
新車だからといって、非常にバランスが整った車両とは言えません。完成品で販売されている自転車、そしてWebで購入した自転車には、その車体のお値段に見合ったタイヤが装着されています。つまりその車体の製造メーカーの利益、販売店の利益を加味され見合ったタイヤが装着されているので、「良いタイヤ」というわけでは決してありません。
むしろ『最低限、安全に走行できるタイヤ』なら、そんな細かいことまで気にしてらんねーよ。というのが本音です。商売ですからね。しょうがないことです。
タイヤ交換の時期が、「自転車、なんか最近重いねん」と感じられたタイミングと一致するなら、ここは思い切って合わせて、既存のタイヤより軽量のタイヤに交換されてもいいと思います。自転車タイヤの大手メーカーはもちろん、海外大手メーカーでも、インチサイズが合えば飛躍的に走りが変わります。
一度ご検討されても良い、いやむしろオススメの合わせ技の対処法ですよ。
●これらをやれば「軽い」と感じるはず
以上、まずは「1」から「3」の整備をすれば、ほぼ体感できるほどの効果が期待できます。むしろ曲がる方向に車体もろともクイッと曲がってくれる感触に驚かれる方がほとんどですね。回転がよくなると推進力が向上し、コーナリング・イン速度が遠心力ともについて来てくれて『すっ』と曲がれます。
さらに「重いねん」というbefore感覚は、整備した後なら2,3漕ぎした時に『うわっ何これっ』と体感されることでしょう。
…で、先述のおばちゃんの自転車の整備afterに試乗してもらったら…
「おわっ何したんっ! 自転車丸ごと、新品にしたんか!?」
するわけないでしょ。そんな神様みたいなことしませんってばよ。
もしご自身でする自信がない方は、無理せず自転車屋さんに相談してください。自転車の駆動系整備なので、不安な方はされない方がいいです。「できるかも」ではなくって「できる」「できない」の2者選択でご判断されて下さい。
特にスポークの調整は、整備不安がある方は避けた方がいいです。自転車屋さんで「ホイールの振れ取り、お願いします」と言ったらすぐにしてくれます。是非、頼って下さい。
それでも、やっぱり果敢にも挑む勇者の気持ちが強い方は、是非やってみて下さい。ただし必ず『乗車前に自転車屋さんに点検してもらうこと』を守って下さいね。
なお過去記事で「スポークについて」でも紹介しています。合わせてご覧ください。
工具については、下記のページを参考にしてみてください。
以上、如何でしたでしょうか?
もうすぐ春を迎えます。気持ちの良い自転車でうららかな春を感じながら、軽快なペダルを漕げると最高ですよっ是非、ご検討くださいねっ
それでは今日も安全運転でいってらっしゃいっ