自転車をレストアするのは難しい?

さぁYoutubeなどでよく見かける「自転車レストア」について、今回はお話してみようかと思います。こちらは、お互いオートバイ好き&旧車好きだった幼馴染のレオくんからの質問です。

「自転車のレストアって、あれ本当に自分で出来るのか?」

『あれ』というのは、Youtubeで見た1950年ごろの自転車が見つかった映像だそうなんですが、charichariはその動画を確認出来ず。(レオくんの閲覧履歴がすでに消えているそうで)

きっとたぶん、こんな感じの映像じゃないかと思うんです。

映像は80年前のシュウィン製自転車を復活させるというものですが、素晴らしいですね。
「CADILLAC」とロゴが見えますが、クルマメーカーの「キャディラック」が製造した自転車ではありません。

最近、たまーにクルマメーカーの「キャディラック」エンブレムがついた廉価版自転車をみかけますが、メーカー直製造の自転車ではないはずです。もしキャディラックが自転車を製造したら、高級自転車としてリリースされるでしょう…あ、余談でしたね。

復活させる程度は車体次第ですが、人間が作ったものですし、自転車はそんなに複雑な機構を持ち合わせていない(だから奥深いんですけど)ので、結論からいえば…「出来ます」です。

しかしこれには注訳つきなんですけど、部品の流用が可能、もしくは車体についている部品がまだ使えるものが多いなど…そういった状況なら可能です。

では一体、どういう根拠があって「出来る」のか? はたまた「出来ないこと」は何か?今回は、それをお話しようと思います。

1.復活したいという依頼やDIY挑戦は多い

「かつて父が乗っていた古いロードバイクが、納屋の奥から出てきた…復活させたい」
「学生時代に乗っていた自転車が、実家の隅から出てきた。復活して息子に譲りたい」
「子供時代に乗っていたデコチャリを復活したいけど、出来るのか」

などなど、charichariは自転車屋さんではないのですが、なぜかいろんな相談をこれまで伺ってきました。同時に復活してお渡しした車両も数多くあります。小学生くらいから自転車とスーパーカブの分解と組み上げが遊びの一環でした。中学生くらいだったかなぁ…友人の「お下がり自転車」を復活させて、彼らの弟や妹へ渡していた思い出もあります。

先ほどのYoutube動画のような「ビンテージ」クラスの車体をイチから手がけるのは、さすがに挑戦したことはないですが、今となっては同等の古物クラス?近所の農家のおじさんが乗っていた、ボロボロの「つばめ自転車」をピカピカに仕上げた(塗装もしたけど、少しムラ残ったのが残念)こともありましたよ。

(出典:nagoya-milky.com)
記憶のつばめ号とは、色が幾分違うけど、これが農家のおじさんも乗っていたほぼ同じ自転車。当時はサンポールでサビ落としなんて思いつかず、必死にヤスリとサビ落とし剤で挑戦。チェーンカバー内部のサビに途方をくれたこともあった(笑)。

2.昔と今の部品の違いってなんだ?

昔と今の自転車部品の違いは、30-40年程度なら特に違いはありません。但し輸入ブランド系車両や限定されたコンセプト系は、車体購入時から付属されている部品を正規ルートで購入しようとすると高額だったりして、入手するのに気が引けることが多々あります。

(出典:aucfree.com)
日本ではフラッシャー自転車など、当時でしか製造されていない部品を揃えていくのは困難を極める

例えば、昭和レトロなるデコチャリなどのフロントキャリアは、すでに絶版しているものがほとんど。また物によってはタイヤサイズ&チューブサイズが限定されている車両など、汎用性に乏しい輸入ブランド車の「あるある」話。そんな車両をレストアすることがあれば、「部品が流通しているのかどうか」ということから調べて行くことになります。

限定的な部品が絶版の場合、車両製造メーカーに問い合わせるか…などの方法がありますが、その段階までになると個人からの問い合わせを受付られないことや、代理店も現状の製品の販売のみで対応不可能など、たらい回しされることもあります。

つまり『大体の部品は、今でも流用は可能だけど、一部の自転車では部品が絶版していることがある』となります。

ならば自転車屋さんでも、古い車両を修理が出来るお店に相談、お願いされた方が得策です。

3.自転車屋さんで相談したらどうなのか?

街でよく見る自転車屋さんでは、通常の修理なら可能ですが、レストア修理はほとんど受付されてません。理由は「塗装出来る環境がない」「部品調達が現状では不可能」「他の自転車を修理販売しなければならない」ことから「手間ヒマがかかりすぎる」ということでしょう。

仲のいい自転車屋さんに聞いて見ると
「大体そんな感じかな。特に販売しているだけの店は相談されても…っていう感じやろね」
という返事。仕方がないです。お店の方針だったりしますしね。

つまり残念ながら「レストア修理を受けられる自転車屋さんを探して下さい。同じ自転車屋ですが、ちょっと分野が違って…ご紹介も出来ないんです…」ということです。

ではどういった自転車屋さんに相談するといいのか?

簡単です。レストア&修理可能な自転車屋さんを、ネットで探して問い合わせてみることでOKです。車体の具合や劣化程度、現在でも部品を揃えられる車体なのか…などを問い合わせの際、聞いてくれます。復活の可能性ありそうなら「一度お持ち込み下さい」など具体的に検討してくれるかもしれません。

ただしお願いする場合、フルレストアとなりますので非常に高額になります。仮にタイヤとチューブ交換だけで¥5,000としたら、それ以外の修理、部品交換、塗装などをも概算すれば…お判り頂けるかと思います。

ヴィンテージ車で見かける左チェーンシステム。
現在ほとんどの車体が右チェーンになっているのは、『左から乗車する』ので人の衣服の汚れや引っかかりを避けるため。ぱっと見、この車両で唯一、調達が難しいだろうなと思う部品はチェーンガード。右側用のチェーンガードが流用できないので、同じような形のものを作らなければならない。

その車両への想いが強ければ、是非プロの手に委ねて、しっかりと復活するという考えも、charichariとしては、お金以上の価値がある大事な選択肢だと思います。

4.自分でするならどうしたらいいのか?

こちらはYoutubeなどでも紹介されているように、「お金がない。だから自分でやっちゃうのだ。多少の粗さが出ても構わんのだっ!」というD.I.Y.的に楽しみながらされるのは、とてもいいことだと思います。

もちろん安全面など不安があるでしょうが、まずは「やってみよう」という気持ちが大事だと思います。あーでもないこーでもない…そんなことを言いながら悩みながら、手を真っ黒にして楽しむのも良いことだとcharichariは思います。

そのためには「準備」が必要です。
下記の項目をチェックしつつ、必要なものがあれば事前確認して備えて下さい。

[自分でレストアする際の事前準備]

1. 『この自転車を復活するのは、しばらくの趣味とする』なる心の準備をして下さい。
2. 『どんな形になろうとも、仕上げるまで諦めない』と決心して下さい。
3. 車体の程度を確認して下さい。
  +サビの進行具合 (ヤスリでOK? サンポール的な、どぶ漬処理が必要?)
  +主体部品の劣化、損傷は? フレームの溶接部分は腐食していない?
  +交換する部品はなんだろう?チェーン、スプロケ、ディレイラー etcの程度は?
  +ボルトなどの部品の程度は大丈夫?(ナメやクラックなど)
  +ワンオフで作らなければならない部品ってある?
4. 塗装するなら何色にする? *初期の段階で着手しないと組めないので
5. 費用は概算、どのくらいかかる? *買換えの再検討にもなります

最低限この5項目を検討すれば、復活作業の可否が見えてきます。

5.復活するかしないか…。結論は…なんともいえん。

話す前から分かりきっていることかもしれませんが、ここまでの話で以下のことが見えてきました。

1. レストア可能な自転車屋さんにお願いする
2. 自分で頑張ってみる

方法論としての理由は上記までとなります。

そして結論としては「思い入れある自転車なら是非、取り組んでみて下さい」です。やっぱり対象となる自転車の所有者のお気持ち次第なんですよね。この復活作業って。

熱量高ければ『是非っ!やって損はないですっ』と言いますし、もう廃棄しちゃう…というならば『残念です。せめて写真だけでも記録して、何かの時にでも思い出して下さい…』という、まさに苦渋の間に立たれている所有者のお気持ちを汲めば…それしか言えないんです。

なのでcharichariとしては、ご本人さまのご意志次第…という結論となります。
しかし、です。これまで復活作業を十数台やってきた中で、個人的な感想は「やってよかったな」という充実感があります。祖父の自転車、友人の幼い兄弟に譲る幼児用ボロボロ自転車、農家のおじさんのつばめ号、幼馴染の父親の大八車(自転車付き)…などなど。

確かにD.I.Y.な「やってみた」的なる作業でしたけど、それが楽しかったし喜んでもらえたし充実感はありましたね。逆に思うと、直してもらった側からしたら「また乗れるっ」っていう感動もあった様ですから、双方にとって良い結果になると思う作業だと思います。


ここまで如何だったでしょうか?
今回のお題を頂いたレオくんの答えから、大きく膨らみすぎてしまいましたが、悩まれている方の一つの判断材料になるお話になれば…幸いです。

それでは今日も元気にいってらっしゃい♪

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