自転車のギアやチェーンはなぜ右側なのか?

さて今回の話題は普段、自転車に乗っていると、あまりにも普通で当たり前のことで、見慣れすぎていて疑問に思ったことはないことを取り上げてみようと思います。まー、ちょっとした自転車解剖学ですね(笑。

今回の解剖学はこのお題。

「自転車のチェーンがついているのはなぜ、右側なのか?」

 

そんな素朴な疑問を追求してみようと思います。

 

 

 

● 自転車史を少し見てみよう

1818年、ドイツ / ドライス男爵によって発明された自転車。自転車と言っても、この時の自転車はストライダーと同じで、ペダルシステムはありませんでした。車両にまたいで、ハンドルを持って(この時からハンドルは左右に前輪を切り替えせた)、足で地面を蹴るっ!という仕様でした。

左)カール フォン ドライス (出典:wikipedia) 右) 自転車の原型と言われた車両 (出典: la Repubblica)

 

このドライス男爵が発明した車両は、やがて車輪の軸にペダルがついたモデル、いわば「三輪車」のようなものへと進化。地面から足が離れたことで、ドライス男爵モデルより持続的に乗車しやすくなりました。開発したのがフランス / ミショー親子。この時から自転車フレームが鉄製になったと言われています。ミショー親子はなんでも馬車職人だったそうで。1861年頃のお話です。

(出典:ピロペディア)

 

それから時代が移り変わり、昔の写真でよく見る、まるで大道芸人が乗る自転車としか思えない、サドルの位置がめっちゃ高い自転車「オーディナリー型」へと進化(1880年ごろ)。ミショー親子が開発した自転車に比べ、前輪が非常に大きいため速く走行できたと言われています。また同時にゴムタイヤを使ったのも、この自転車からだと言われています。

(出典:自転車モノクローム)

 

これら3代を経て、1879年に英 / ローソン氏が、チェーン付きの自転車「ビシクレット」をリリース。このネーミングが、現在の『Bicycle』の語源だと言われています。このモデルは自転車デザインとしては、かなり革新的なもので、大量生産が可能でかつ、誰もが安全に乗れるというものでした。現代でいえば、iPhoneのような存在なのでしょう。

(出典:徒然ひとり言日記)

 

 

●ビシクレットからチェーンがついた

さてこのビシクレットからチェーンが付いたことで、より軽快に走れるようになりました。前の写真のような仕様…あれ?ママチャリやんか? そう思って頂いたあなたはお目が鋭いっ! そうなんです。自転車はそもそも「ママチャリ」から歴史がスタートしていると言っても過言ではないんです。ママチャリってダサいと思っている方。違いますよー、トラディッショナルモデルなんですよー。自慢していいんですよー(笑。

話は戻って、このチェーン。すでに右側に付いています。さてなぜ左側を選ばなかったのか?何か不具合でもあったのか?それともたまたま…?

 

実はちゃんと理由があります。それは「ネジが原因なの」なんです。

 

 

●ネジ目の向きは、時計回りで締められる

自転車フレームを中心に、部品が鉄製になった頃からすでに使われていたネジ。ネジの歴史は西暦1500年ごろから存在していました。現代のネジみたいな完成されたデザインではなかった様子ですけど、それでもネジの向きは「時計回りで締められて、反時計回りで緩めることができる便利な部品として活用されていました。

この「時計回りで締められる」が実は自転車チェーンの右側についている大きな要因なんです。

自転車はペダルを漕ぐ時、踏み込みますよね。その時、自転車全体を側面から見ると、ペダルは時計回りで回転する仕組みになっています。「ビシクレット」開発者 / ローソン氏の自転車から採用されていたかどうかは定かではありませんが、小ギアが「右ネジ(順ネジ)」で固定されていたことで、反時計回りとなる回転方向だったら分解する恐れがありました。

それでギアやチェーンは、右側に装着することが一般的になったと言われています。

 

ただ、他にも理由があって、世界にいる人間の利き腕は、統計上圧倒的に「右利き」です。ネジの回転もそれに合わせて「時計回りで締めれる仕様」になっているほどですから、自転車の乗降時に”自転車が右側にくる”ことが多いことから、左側チェーンだと、服が汚れる&足を怪我してしまう恐れがあるからという理由もあッたはずです。

 

 

●左チェーンというモデルはあるのか?

現代で「左チェーンモデル」の販売は無いと言っても過言ではありませんが、一部存在はしています。BMX系モデル、そしてトラック競技用車両では「左チェーンモデル」は存在します。固定しているネジはもちろん「逆ネジ」。つまり『左に回すと締まり、右に回すと緩む』というネジですね。

それぞれ右にチェーンがあると不具合があると判断されたのでしょうね。レフティーになったことで、他の車両よりアドバンテージが見込めるのは、確かにあると思います。

(出典:BMX Union) Justin InmanのBMXはレフティだ。これは右側にペグをつけてグラインドするライダーには、チェーンやスプロケを痛めることが無いので、あえてこういったモデルもリリースされている。お値段は約11万円。

(出典 VANCHOBIKE) グラインド例。この方は左でレールグラインドをしている

 

 

●つまり右側にあるのは、ネジの都合からってこと

現代の部品流通から踏まえると、一般的に汎用性が高いのは、順ネジ(右ネジ)なので、自転車の製造でも部品が仕入れやすい、そしてアフターケアしやすい(コストも安い)のが理由からということだと思います。

左モデルでの車両は街中でもめちゃくちゃ目立つし、そういった個性的な自転車が一般車両のモデルでもあったら、ちょっと面白いですよね。ほら、ギターでもレフティー用モデルがあるように、モデルとしては台数は少ないけれど、リリースされていたら、若い人たちに受け入れられそうです。

これから、もしかしたら…そういったモデルが、少しリリースされてくるかもしれません(よう知らんけど)。その時に拝見するとしたら…ちょっとその時が楽しみです。

 

 

というわけで。

今日の元気にいってらっしゃいっ!!

 

 

 

 

 

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