ベストなサドル調整の方法とは?
先日、友人から「サドルの高さって、何を基準にしたらいいんかな?足つき?」という質問がありました。
いや、そういえばこのお話、すごく大切なのに今まで触れていませんでしたね。いい機会ですのでお伝えしたいと思います。
●あの教えは万能ではないっぽい
「自転車のサドル高は、乗って両足のつま先が地面につく程度が好ましい」
昔、この定義を聞いたことはありませんか?charichariが子供の時に、小学校での交通安全教室に来られた警察の方が、サドル高についてお話されたのを覚えています。実際、この教えはすぐに自分の高さに調整できる非常にわかりやすい定義だと思いました。
…が。この定義は間違ってはいないのですが、どうも万能ではない定義だと思います。つまり「すべての自転車に共通する方法ではない」ということに気がつきました。
●自転車の種類によって変わるっぽい
例えばママチャリ。乗車姿勢が腰から頭まで「お空にまっすぐ背筋ピンっ」な自転車の多くは、ハンドル形状が運転者の体に近い場所、腕が楽にハンドルに伸ばせて、手をハンドルに添えるイメージでグリップが握れる「セミアップハンドル」を採用されています。
この場合、あの「自転車のサドル高は、乗って両足のつま先が地面につく程度が好ましい」の定義にもれなく入り、写真のように片足つくと、足のかかとまで地面に着地するという姿勢が保てます。低速で走行することが多く、前カゴや荷台にもカゴや荷物を載せられるママチャリにとって、このサドル高定義は非常にぴったり当てはまる基準だと思います。
しかしママチャリといえど、ハンドルが「フラットバーハンドル」の場合、やや前傾姿勢になります。それにより先述の定義だけではなく「自転車のサドル高は、乗って両足のつま先が地面につく程度が好ましいが、サドルポジションの調整もしましょうね」となります。
●前傾姿勢の自転車のほど、サドルとサドル高の調整は必要っぽい
−1. サドル調整の大切さとは
サドルに座った時、人間の「坐骨」はサドル後方、幅広くなっている場所に着座されます。これは乗車走行での安定性、快適性を考慮した結果といえます。
本来は、その「坐骨」がサドルに確実に着座していることで快適なライディングができますが、「フラットバーハンドル」だと、人間の上半身の体重は前傾姿勢となり、「坐骨」から「恥骨」付近に体重がかかります。となると、自分の乗車姿勢とサドルが合っていなければ…通勤通学中に、なんかお尻(恥骨付近)が痛いかも…という症状が発症するのです。
もうちょっといい挿絵があったらいいのですが…なんかすみません。そんなサドルの痛みやサドルの調整方法について、以前詳細に書いた記事があります。詳しくはこちらもチェックしてみてください。
−2. シート高が重要なのはなぜか?
「ペダルを地面と水平にした時、膝の皿ウラとペダル軸が直線(垂直?)になること」
この言葉は昔から言われているサドルポジションとサドル高の調整定義ですが、これにはちゃんと理由があります。人間がペダルを漕ぐ上で、しっかりとペダルに加重をかけられないと、すごく疲れます。自転車だけでなく異種スポーツでも良く言われる『最小限の力で最大限の力を出す』には、基礎が出来ていないと発揮出来ません。この言葉にシンクロするように自転車も漕いだ時の力が100%発揮出来るように、先の定義に沿って調整することで、疲労や炎症を含む怪我を防ぎ、ついては事故をも防ぎます。
(出典:人工関節の広場)
上のイラストをご覧ください。このイラストに書かれた紫色の直線の下、つまりペダル軸に結びつくイメージが理想となりますが、自転車を漕ぐ際に使う筋肉は「大腿四頭筋 / ハムストリングス(太ももの裏)/臀筋群(腰及びお尻)」が主に働きます。そこで生み出したパワーが、関節を通じて足裏に出力されます。
この状態がライディング中で最もパワーをペダルに伝わりやすいバランスだと言われ、今でも伝わる定義「ペダルを地面と水平にした時、膝の皿ウラとペダル軸が直線(垂直?)になること」が基準になっているというわけです。
●まずはサドルの角度やポジション調整、そして高さ調整だ
サドルポジションを調整するには、まずサドルの裏を覗いて見てください。ロード系バイクなら「六角レンチ」で調整可能ですし、軽快車ならスパナで調整可能です。必要な工具を確認してから調整に入ります。
そして調整するのですけど…ここですーごく分かりやすく書かれている記事を見つけてしまいました(笑)。そうなんです。裸足になれるなら(靴下履いていてもいいですけど)、なって調整した方がしっくり来やすいんですよ。是非この記事をご覧ください。
ね、分かりやすいですよね!この記事と同じこと言いたかったのですが、さすがですね。こりゃなんだかやられたなー(笑)。この方法で決まったサドル調整と高さが、あなた自身のベストなポジションとなります。
●いくらベストだとはいえ、片足すら地面につかないことがないようにして下さい
ベストポジションとなったとはいえ、走るのは競技トラックではありません。ほとんどの方は街中、もしくは一般道路です。体型により乗車するのはいいけど、足つきに不安があるなら、サドルの高さをやや下げて調整して下さい。でないと急な停車の際にコケてしまいます。無理のないように調整して下さいね。
ここまでのお話をまとめると…
・ママチャリのシート調整は「安全に運転出来る、足つき優先」でお願いします。
・前傾姿勢の自転車は、ペダルと膝とのバランスポイントをチェックしよう
・同時にシートポジション(前後/上下首振り角度)を見ていこう
となります。
最後になりますが、小柄な方で「フラットバーハンドル」仕様の軽快車をお乗りの場合は、ハンドル位置がサドルに比べて高くなっているかと思います。その場合はママチャリと同じ「自転車のサドル高は、乗って両足のつま先が地面につく程度が好ましい」基準で調整して頂ければOKです。
一方、大柄な方にとっては、自転車の大きさにも関係します。シートをあげればOKな「会社の自転車を一時利用」「オカンの自転車、チョイ借り」ならそんなに気にする必要はありませんが、ご自身がお持ちの自転車の大きさが体格に合っていなければ、次回購入される際に是非、自転車屋さんと相談して『体格に合ったフレームサイズの自転車』にお乗りくださいね。
それでは今日も気をつけていってらっしゃい!