自転車は万能じゃない。ちゃんと点検しないと重大事故になる

のっけから怖そうなタイトルですみません。この『自転車整備のスス芽』のコピーで、”自転車はほぼ、一生乗れる乗りもの〜♪”と言ってますが、これは「整備点検した上で」のお話なので、何もしなければすぐに故障します。人間と一緒です。愛情なければ恋人とは長続きしません…自転車も愛がなければすぐに壊れてしまいます。愛です…愛。

その自転車への愛ですが、毎日点検もしくは定期的に自主点検をされているにもかかわらず、愛車が走行中に突然崩壊、ライダーがぶっ飛ばされて重大な事故、そして入院するような重傷を負ってしまう方もおられます。

 

国民生活センターが過去に(1999年)にまとめた自転車整備不良含む自損事故によると、走行中にスポークの破損、泥除けカバーを固定しているステーなどが前輪に挟み、『前輪ロック状態』で自転車から投げ飛ばされた方の相談が当時、多かった様子です。

 

「重傷になりやすい自転車の前輪ロックによる転倒事故」国民生活センターまとめ

(http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-19990604_2.pdf)

 

また一般社団法人「自転車協会」の昨年2017年の記事によると自転車の故障トラブル、原因の7割は「メンテナンス不足」 2人に1人がメンテしていないというリサーチ結果を発表していました。この集計結果はメンテナンスの頻度を集計したものなので、軽度なものから重度なものまで包括的にリサーチした結果ですので、先述の国民生活センターがまとめた主点とは少し違いますが、整備不良がきっかけとなるインシデントとしては、非常に近しい結果だと言ってもほぼ間違いありません。

 

「自転車の故障トラブル、原因の7割は『メンテナンス不足』 2人に1人がメンテせず

(https://www.sbaa-bicycle.com/sbaa_sp/news/06.html)

 

これら以外にWebで見れる故障などの自損トラブルの集計結果などあります。それは以下でご紹介しておきます。

自転車等の事故の防止について(注意喚起)」(独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター)
故障が事故に・・・自転車点検の定期実施を!」(ラクール保険事務所)
自転車利用環境整備等による 安全性向上に関する提言」(財団法人 日本自転車普及協会 )

 

 

●愛車の定期点検は必ずしてください

では自分の自転車の点検はどうすればいいのか?事故を未然に防ぐことができるのか?

この問いかけについて、まず言えることは「いくら愛車といえど、過信してはいけない」を常に思っておくことです。たくさんの愛情を注いでも、メンテナンス方法が誤っていたら故障や誘発事故はおきてしまいますし、乗車前点検も怠っていても故障や誘発事故を招きやすくなります。

出来れば年2回(春前と秋前)、自転車整備士の資格を持っている自転車屋さんに「車両点検して欲しいんですけどー」と、お願いして下さい。それだけで愛車の命は蘇ります。

しかし自転車屋さんになかなか赴けない方は、最低限、以下のことを日々点検&注意して乗車して下さい。

 

 

1. 乗車前点検

– ブレーキの張り、ブレーキバーを握った時の引きの深さ

ブレーキワイヤーがヘタったり、損傷していると普段より深く握り込めることがあります。「あれ?」と思ったらすぐに自転車屋さんに見てもらって下さい。

 

– ハンドルバーの左右いずれかに曲がりふれてないか

フロントタイヤを「縦90度」軸として見た場合、ハンドルバーは正しく「0度」と「180度」のポジションになっているかどうか確認してください。駐輪場で停車中に自転車が倒れ、倒した方が引き起こしてもらった…まではいいですが、その衝撃で思わぬ負荷がかかって振れ曲がったー、という事例があるそうです(友人ですが)。 工具があるならご自身で整備してください。なければ自転車屋さんに行って下さい。

 

– チェーンのたわみは正常か

動力となるチェーンのたわみは、持ち上げると「1-2cm程度」でおさまるかどうか。ダルダルなら詰める、もしくは交換するとなりますので、自転車屋さんに相談してください。

 

– 前輪、後輪をそれぞれ片輪だけ5cmほど縦に持ち上げ、地面に落下。振動音に異常はないか

前かご、泥除けなど付属部品が多い軽快車では、この「5cmチェック」をすると『バイーンビーン』とか、何か振動共鳴することが多いですが、明らかに「ブレている」音がありましたら、各ネジ穴の締め直しをしてください。それでも異音が治らない時は是非、自転車さんへ。その際、音の場所を把握しておいてください。

 

– サドルは固定されているか

言わずもがな、お尻が前から後ろから左右などクルクル回ると、危ないことこの上ないので、締め直してください。

 

– タイヤの空気圧は正常か

空気圧はタイヤ側面に書かれている空気圧表示「(例) 4.5 – 7.0 bar」を参考にして、空気を入れ直してください。空気圧表示のない空気入れをお持ちの方は、タイヤを強く指で押すと「硬いけどいい感じでちょっと凹む」を目安にして下さい。

 

 

2. 走行中に注意しておくこと

– ハンドルから伝わる路面の振動は、普段通りか

クロモリフレーム、アルミフレーム、カーボンフレームなど、世の中にはいろんな材質の自転車フレームがありますが、ハンドルに伝わる振動は、路面の凹凸や減速時、発進時においてハンドルに伝わる振動は異常はないか、注意しながら走行して下さい。中でもフロントフォークがサスペンション装備している車両の場合、この振動違和感を感じとることは難しいかもしれませんが、「ガコン!」「スコン!」と段差などで抜けてしまう感触、その他の”ありえない感触”を感じたら、すぐに停車して自転車屋さんに見てもらって下さい。

 

– 聞いたことがない異音(金属音)は出ていないか

「ピキピキ」「パキーン」「シャッシャ」「カラカラ」など、聞いたことがない音がしたら、すぐに停車して確認してください。特に「ピキピキ」「パキーン」系の音はスポーク付近で発生することがある音です。スポークも消耗部品で、劣化すると断線します。高速走行中にこんな高い音がしたら、直ちに停車して疑って下さい。

 

– ブレーキの感触は普段通りか

「あれ?いきなり握りが深い」と思ったら、すぐに自転車屋さんを探して下さい。そのまま乗車すると止まることが出来ません。安全速度から低速に徐々に速度を落として停車。ブレーキレバー付近から該当のブレーキ周りのブレーキシュー、そしてワイヤー接点などを見てください。わからない場合は自転車屋さんに相談してください

 

 

3. 降車点検

– ブレーキシューは歪んだりしていないか

新しいブレーキシューをつけた時に発生するのですが、リムとの相性がまだ馴染めてなく、シューが反発をして傾いてしまうことがあります。ボルトの甘締めの原因の際もありますが、歪みがあったら適正ポジションに直し、しっかり締め直しましょう

 

– タイヤに異物が刺さっていないか

このケースはよくあるのですが、走行中に何か異物が刺さり、そのまま帰宅まで特に空気圧が減ったなどの違和感を感じず、次の日に乗ろうと思ったらパンクしていた…という例があります。降車時、前後タイヤを簡単でいいので見てあげて下さい。

 

– チェーン周りにゴミ、またはサビ、油ぎれを起こしていないか

チェーンに土、ギア付近にゴミ、ディレイラーになぜか髪の毛、時には砂など、油はいろんなものをくっつけて離しません(笑)。これらはギアもチェーンも痛めてしまいますので、ざっと見て付着していれば取り除いて下さい。また小さなサビなどがあれば、すぐに削り落として(爪楊枝とかで取れるレベルなら)、近日中に油をさして下さい

 

 

4.「まさか」ポイントもチェックしておこう

-フレームの溶接付近、フロントフォークなど

ずいぶん前の話ですが、ある輸入車を乗っていた人がいきなりフロントが破損し転倒、脊髄を損傷し全身マヒになった事故がありました。製品の個体差もありますが、フレームも「部品」の一つです。塗装の不自然なひび割れ、大きく深いキズなど発見したら、フレームをトンカチ(ラバーハンマー)などで軽く叩いてください。亀裂などがあれば、変な音もしくは振動音がビビってるという現象があるかと思います。もし異常が出たら、その自転車には乗らないでください。

 

-クランクの異音、ペダリングの抜けなど、踏み込みに違和感があったら

クランクが削れていっている、ボルト抜け…原因はいろいろあります。言えるのは「部品交換必至。すぐに自転車屋さんに相談して見てもらって」です。

 

 

 

 

いかがでしょうか?

項目「1.〜3.」は毎日、点検できればして頂きたいところです。「4.」については洗車や整備時にチェックをして下さい。もしくは自転車屋さんに車両点検をお願いしてください。

「そんな…軽快車は速度はそんなに出ないし大丈夫…めんどくさいしねー」って思っていたら、バズーカー砲弾のように前にすっ飛んで行った『公園で前輪ロック』した幼馴染が、charichariにはいます。確かダイナモが前輪に巻き込んで…だったかな。ダイナモを足で押していたら曲がっていって前輪ロックしたんだかな。。。これは自業自得ですが

 

年末です。事故には気をつけて。

今日も安全運転でいってらっしゃいっ!

 

 

 

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