メンテに必要なオイルってなんだ?

さて今回は整備に必要なオイルを取り上げてみましょう。
日々、自転車に乗っていると、粉塵や泥水などが車体に付着しますし、たまに洗車すると、オイルも流れ落ちて、そのままにしておくとサビや部品の劣化を招くことになります。

もちろん故障しない限り、走ることは走りますが…各部品の劣化は著しくなりますし、踏み込んだペダリングのパワーを減衰させ、乗り手の無駄な体力消耗をお誘い頂くことになります。…なんか勿体無い。

「そんなに大げさなことぉ?」
というお声も聞こえてきますが、分かりやすくいえば「(オイル整備の有無は)タイヤの空気圧を適正か、パンク気味かでペダリングする感覚差」に匹敵するほど変化があります。

顕著な具体例で言うと…

(出典:ミニマムに生きる)
こちらは雨ざらしにされていた自転車のチェーンとスプロケ。「ミニマムに生きる」さんによると、特にメンテしないまま屋外駐輪をしつつ、全天候で乗車していたらこうなったそうだ。ブログではこのサビ落としにトライされている。その結果は…

「まさかここまでにはならんでしょう」と思っちゃうのですが、結構お見かけしますよ街中でも。ガリガリ〜カリガリ〜って軋ませながら乗っている方、ペダルが重そうです(笑)。ここまでくると完璧にサビ落としをするのには難しくなります。

こんな風になる前に、ちょちょいとオイルやグリス整備するだけで気持ちよく走れるなら、やっておく方がいいに決まっていますよね。

というわけで今回は「オススメオイルとその注油方法」をお伝えしましょう。

走りに関わる整備ポイントはここだ

まず自転車で走行する際、人力がかかり動力として可動するポイントは下記の通りです。

難易度は、手間がかかる後輪側のベアリング整備のグリスアップを基準としています。変速機がある場合は星が5つになるかもしれません。なぜかというと、スプロケットの取り外しなどの手順や工具がいるから。自信がなかったら自転車屋さんに相談しましょう♪

ついでにそれぞれのポイントの整備解説も入れさせて頂きました。こういうことになります。

走行している時、この4点が可動しているわけですが、理屈では人の脚力を「1」とすると、それぞれに抵抗があれば、その脚力エネルギーは減少。その分、脚力で補おうとするので、人の脚力は抵抗に比例して「1.1」や「1.3」などの通常の力より強めに踏み込むことになります。

つまり疲労度が増すことになります。体力もったいないと思いません(笑)?
但しベアリンググリスの清掃&補充は、ちょっと手間と時間がいるので、そこは自転車屋さんにお願いしてもいいかも?

「 ベアリングのオーバーホール、お願いしたいんですが…」

と言えば、ニコニコしながら応対して頂けると思います♪
しかしご自身でやれるなら、お時間あれば是非トライしてみてください。やる価値はありますっ

同時に、タイヤの空気圧も適正にチェックすることも大事。クルマでもオートバイでも、タイヤ空気圧が適正でないと、燃費が著しく変わりますし、車体を踏ん張ることが出来ません。整備の際は、車体本体の注油とともにタイヤ空気圧も確認することをセットに手がけてください。

注油する前に古い油はリムーブしよう

自転車の注油ポイントをご理解して頂いたところで、タイヤの空気圧チェック並みに定期的に注油して頂きたいのは「前ギア(ギアクランク)」「チェーン」「後ギア(スプロケット)」「(後ろに変速機あれば) リアディレイラー」「(前に変速機あれば)フロントディレイラー」の注油整備。

(出典:自転車専門店ペダル)
シティサイクル車では、変速機があるならば、ほぼ後ろのみに装着されている。また「内装三変速機」と呼ばれる多重のギア歯がないものもあるが、異音などなくメンテに自信なければ触らなくても良い。でも異常を感じたら自転車屋さんに相談しよう。

自転車で一番、見た目メカニカルな場所は是非、Do it yourself して頂きたい。
でも単に「油をぶちゅ〜っ」したら良いって訳ではなく、古い油を落としてから新しい油を注油してやるのが重要です。それはなぜかというと『古い油に付着している粉塵が、チェーンやギア歯の摩耗を促す』からです。

シティサイクル車は、かつての「ママチャリ」よろしく『チェーンガード』を装着して、雨風や粉塵から極力守れるようにしたモデルが多くありました。もちろん今でも存在しますが、最近のシティサイクルは、上記写真のような”洋服が汚れない様にするため”のチェーンガード、もしくはクロスバイクの様なチェーンガードが無いモデルが非常に多くなりました。

(出典:パナソニック / シナモン・JP・ツインロック)
チェーンガードがフルカバーモデルの場合は、整備用に小窓がある(クランク側の丸い銀色/リアギア側にあるボルト留めのカバー有)が、ちょっと面倒。でもチェーンカバーのおかげで汚れは軽減されているので、定期的に気になったら着手するでもいいかも。

それぞれに利点がありますので、どちらがどうこう…ということではないのですが、ご自身で注油整備する際にメンドくさくないのは上記写真のような「チェーンガード」か、全くないものかもしれません。包み込むようなチェーンガード車は、一度外してから整備しなくてはなりませんので…。

前説明が長くなりましたが、それでは古い油を取り除く方法のお話に進めさせて頂きます。
作業をする前に、必要なものは下記の通りです。

[チェーンなどに付着している古い油を取る道具たち]


1) 雑巾 *「古くなったTシャツ」が最も良いです♪
2) 古くなった歯ブラシ
3) パーツクリーナー *洗濯用液体洗剤でも可
4) 手袋 *
5) バケツにお湯 *風呂温度くらいのお湯


この5つあれば綺麗に出来ます。
3)の「パーツクリーナー」は、ホームセンターなどで¥300程度で販売されているので、1缶購入されてもいいでしょう。自転車だけでなく整備する上で清掃する部品あれば、使い回しても良いものですので。それ以外で言えば、古い油除去の作業は、ご家庭にあるもので十分出来ちゃいます。

[古い油の洗浄方法]

  1. まず、中性洗剤と古歯ブラシを使って、ギアやチェーンをゴシゴシします。
  2. 塊になっている汚れは、お湯などを使ってゴシゴシ…
  3. ある程度、汚れが取れたら、お湯で流してやる
  4. 最後に古雑巾、もしくは古Tシャツの端切れで綺麗に拭き取る
  5. 拭き取りづらい場所は、車輪を回して水気を飛ばす

写真がなくてすみません…。
あまりに簡素で終わったので、なんか挿絵を入れる隙間がありませんでした。。。寂しいので、ちょっと無理くり入れてみましょう。

まぁここまで汚れることは、日常仕様では限られますが、未舗装路を走って遊ぶとこうなったりすることは多々、あります。こんな風になっても、中性洗剤と水でブラッシングしてやれば…おおよそピッカピカになります。

なので注油するタイミングとしては『一切合切、自転車を丸洗いする時』でもいいんです。拭き取った後に丁寧に注油すればバッチリです。

あとはチョチョイと注油するのみ

綺麗になったギアとチェーンに、注油をしてやるのみとなりました。

「では早速…(..ぶちゅぅぅぅぅっ)」

そんなマヨネーズみたいに注油してはダメです。注油もコツがいるんです。それをまとめられたアサヒ自転車さまのご紹介ページがございます。是非ご覧くださいませ。

…いかがだったでしょうか?
メンテのしやすい自転車タイプなら、この注油頻度を多くしてもいいでしょう。頻度は人それぞれですが、理想は「1ヶ月に一度」出来たらいいだろなーと思っています。でもなかなかこれがねぇ…2ヶ月に一度とかになっちゃってねぇ。。。

出来ればやってほしい整備中級的ポイント

動力周りの注油ポイントのご説明を少しサボった感がありますので、せっかくですから他の注油ポイントをもご紹介しましょう。

<その他の注油ポイントたち>

1. プレーキワイヤー
これ、結構おろそかにされがちでして、ワイヤーに3~4滴ほど垂らしてやると、錆びにくくなります。ワイヤー保護にもなりますので、是非っ!

2. ボルト穴
これもオススメで、1滴ほど垂らしてなじませるように拭き取ると、錆びにくくなります。垂らしたままにすると汚れを誘うので、必ず拭いてくださいね。

こんな変速機(Wレバー)は見かけなくなりつつあるが、むき出しになっているワイヤーは、古くなると油質がなくなり錆びを誘発する。それを防ぐのに油を少し、垂らしてやると、ワイヤー劣化をも防げる効果がある。この方法はオートバイメンテの一例だが、自転車でも使える方法だ。

オススメオイルたち

基本的に『機械油なら、(ある程度)なんでもOK』という持論を持つcharichari。
但し「目的用途によって選ぶとなお良し」ということを添えさせて頂きます。それはなぜか?

”実は結構、色々あるから”

なのです。
話せば長くなるのでちょっと割愛しますが、大きく分ければ『軟質系オイル』と『粘質系オイル』があります。これらは、外気温に応じて使い分けると、液だれがせずに各部品を保護してくれる効能があります。

しかし、一般生活で乗車する自転車に、そんなこだわりも性能も必要かと言えば「要りません」。それよりこまめに注油整備をすることの方が、どんな高性能オイルよりも良い効果を出してくれます。

一般道路、高速道路などを走る車両は、高性能オイルの効果はあります。部品が持つ温度、外気温、走行中による回転運動での部品温度上昇…過酷な環境になりやすい乗り物には、部品劣化を鈍化させる期待が持てますが、オイル自体の劣化は早いので、整備頻度は多くなります。またオートバイのチェーンには「シール」と呼ばれるゴム製部品が装着されているので、オイル性能は少し気を使います。それらと比べると自転車で使用するオイルは「(ある程度)なんでも良い」と思います。

それを踏まえて、オススメするオイルはなんだろうか?
ちょっとまとめてみました。

▼ ブリヂストン 高品質サイクルオイル CO-1

信頼のブランドと言っても良いブリジストン社からのスピンドル油。スピンドル油は、小型機械(ミシンなど含)の潤滑に使用されるサラサラ系油なので、自転車でも馴染みやすく十分に使用できる。但しサラサラ系油なので、注油は適量にしないと液だれしやすい。気をつけるのはそれだけ。オススメできるオイル。

▼ AZ チェーンルブ マルチパーパス 50ml

AZからの万能オイル。「PTFE配合」と書かれているが、つまりフッ素樹脂が混合されている。どんな効果があるかというと「熱に強い・薬品に強い・電気を通さない・くっつかない・滑りやすい」という特性を持つことから、気温や部品の温度変化にも耐えられる能力を持つということ。

▼ KURE(呉工業) 自転車専用チェーンルブドライ

お馴染みのオイルメーカー「KURE」からのチェーンオイル。130mlと量が多いのと、混合されている油が、潤滑セラミックス(ボロン)、PTFE(フッ素樹脂)、エステル化学合成油、防錆剤、石油系溶剤、などと5品目配合されていることから、上記よりもお値段が高いが、それでも容量だけで比較するとお安い。この「ドライタイプ」以外に「セミウェット」などのラインナップもある。

こんな感じでしょうか。
他にも機械オイルでは世界的に信頼を寄せる「Wakos」、「FINISH LINE」なども高性能高品質な製品があります。ここではご紹介を割愛していますが、それらをお試しするのもモチロンおすすめします。

今回も長くなりました…すみません。
では今日も元気にいってらっしゃーい♪

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