冬は熱燗で…は人間だけど、冬の自転車チェーンにはどんな油がいいのだろう

「年末だし自転車も綺麗にしないといけないなー」と思い始めたら吉日。そろそろ洗車なぞ考えたりするシーズンですね。

以前、仕事でご一緒したオートバイレースで、あるワークスチームのメカニックをしている人が『洗車はメンテナンスの第一歩です』と、休憩時間に鈴鹿のピットで我が愛車のメンテ相談をしている時に答えてもらった言葉がこのセリフでした。

 

『汚い車両はオイル漏れや消耗部品の劣化に気づきにくいですし、その汚れから消耗品が劣化しやすくなります。また綺麗な車両は「どれだけ影響が出ているか、どこからその症状が出ているか」が一目で分かるから、エンジンやチェーン、吸排気系周辺、バッテリー周辺などを中心に綺麗にしておくことが整備でも非常に大事にしています』

 

それ以降、愛車をこまめに拭き取り、泥などが付着していれば水で洗浄するなど、なるべくサビを誘発しないように洗車をするようになりました。おかげでフロントフォークのオイル漏れもすぐに発見出来たし、スプロケの劣化&チェーンの磨耗にも気づけたことで、今でも安全に乗れるCBRちゃんでごわすの。

もちろん自転車も一緒です。構造的に「エンジンは人間」以外ほぼ一緒の乗り物なので、綺麗に管理することは同一。洗車方法は以前の記事でまとめてご紹介しているので是非、ご参考頂ければです。

 

 

▼オイルはなんでもいいけど気温は気をつけよう

その洗車後に必ずするのが注油。”基本的に注油するオイルは機械油であればなんでもいい” というのも、自転車程度の回転数と負荷を考慮すれば十分効能を発揮してくれます。もちろん高価なオイルはダメというわけではありません。むしろ最高の機械油なので、油の粘度や耐久性、摩擦想定温度を、使用用途に応じて最大限に追求した製品なので素晴らしく良いはず。おそらく部品の寿命も大幅に伸ばしてくれる効果もあるでしょう。

でもその最高級オイルはシティサイクルに必要なのかどうかというと『過必要』。レプリカ自転車は”エンジン”次第で50-70km/hを出せてしまうが、シティサイクルは競輪選手が必死こいて走っても40km/hちょっと。普通なら平均速度20km/h前後です。その速度の差とチェーンにかかる負荷と摩擦率を考えれば、シティサイクルに最高級オイルを注油してやるのは「オイル自体は必要だけど、そこまで高性能は使い切れない」となりますよね。だからアレです「基本的に注油するオイルは機械油であればなんでもいい」となるのですよしかしホンマに。

 

とはいえ、です。気温の変化によって最高級オイルとしてでも、その持っている能力を半減してしまうことがあります。特に気温0°C以下になる地域で気温20°C前後での環境下を想定した最高級オイルを使用した場合、ゼリー状もしくは凝固したようになります。

 

ではどうしたらいいのか?

ご安心下さい。この「自転車整備のスス芽」は分かりやすくまとめてみましたアルよ。

 

 

▼細かくいえばオイルの粘度は、最大5種類くらいに分けられる

機械油には、その環境下と使用箇所に応じて適応できるように粘度を分けて精製されています。気温で大まかにいえば

「低温用」10°C以下

「中温用」約10〜25°Cちょっと程度

「高温用」25°C以上

*この数字の根拠は、バイク用やチェーンソー用のチェーンオイルを加味&私の経験値を参考にまとめています。

の3つに分けられます。この3つの耐温度範囲はメーカーによって様々ですし、また商品によって設定が違っています(もっと細かい設定もある)ので、確実に「この気温ならOK」という数値を出せないのですが、参考としての数値を出すならば、こんな感じになります。

それぞれの気温での粘度は、気温が高くなると『粘度が濃い』、気温が低くなると『粘度が薄い』を使い分けると、エンジンの燃焼率や燃費の向上に大きく影響される…つまり自転車なら「乗っている人がしんどくなりやすいか、それとも快適か」に関わるということになります。

 

さあ話が見えてきましたね。つまり夏は『粘度が高い』オイルの方が都合よく、冬は『粘度が低い』方が快適だということです。

 

 

 

▼見分け方

で、その『粘度』をどうやって見分けるのか? 裏の表示で「低温用etc」「低粘度etc」と記載されているとありがたいのですが…難しいところですが、製品名の一部で書かれている単語からしか想定できないものもあります。今回はシマノがリリースしているオイル商品をご紹介しましょう。

 

 

●低粘度製品 (低温環境に合うタイプ)

オイルの粘度性質はサラサラ感ありますが、100km〜200km走ってもディレイラー可動もスムース。多少の雨でも劣化しにくい、まさに自転車部品メーカーのオイルだけに考えられた製品です。注油後ペダルを回すと軽くなったのが分かるほど「軽い」です

 

 

●高粘度製品(高温環境に合うタイプ)

手にとってもらえば分かるのですが、ドライに比べてヌルっとした感触があるタイプ。にしては他メーカーに比べ粘度は低い気がする。乾燥もほとんど生じず、悪天候もしくはMTBなどで悪路を攻める時に使用すると、その安定した性能効果を実感できる。気温が寒冷地より楽な都内もしくは市内で乗車する分には、この1本あればいけるっ! と言っても過言ではないマジカルオイル

 

紹介したこの2つのシマノ製品のオイルは、他社のオイルと比べてコストパフォーマンスが高いです。charichariも使っており両方持っています。

 

ということで、本当ならばオイルのお話をツラツラ、ご説明してもいいのですが、自転車に使用するオイルは、オートバイのように摩擦高温、もしくは燃焼高温になることはないので、それほど「タレる」「もたつく」ことはないです。なのでシマノのような普通の価格帯のオイルでこまめに注油する方がオススメです。

 

いかがだったでしょうか?これからの冬、そして年始に向けて是非、ご自身の自転車の整備の参考になればと思います。

 

 

それでは今日も気をつけて行ってらっしゃいっ

 

 

 

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