ルック車って何だ?

この言葉はWebの自転車系記事でも、よく見かけるワードです。最近は…あまり見なくなりましたね。

ルック車っていわば「見た目だけ良さげな安価部品で組み上げられた自転車」という意味で使われているのが妥当でしょうか…。ロードバイクなどのスポーツ系のブランド車両を”正規正当自転車”とするならば、どこぞのメーカーなのか、分からない自転車に対しても使われたりします。

色々と語弊を生みやすい俗称ワードなので、この言葉の取り扱いは非常に繊細ですが、まぁ言いたいことは分かります。関西弁でいえば『パチもん(パチった[パクった/真似た] もの・物)』という表現でしょうね。

 

 

●ルック車の定義はない

しかしこのルック車。どこからどこまでが「ルック車」で、どう判断していいのか分かりません。つまり「パチもん」の判断基準がないのです。しかも「パチもん」と呼ばれちゃった車両でも『BAAマーク( [BICYCLE ASSOCIATION ( JAPAN ) APPROVED]の略。一般社団法人自転車協会が定めるフレーム強度、ブレーキの制動性能、リフレクタの反射性能などの約90箇所の検査項目をクリアした自転車のみに貼付されるマーク)』が付いている車両も多く、どうやら規格外の自転車だけに言われるわけでもなかったりします。

 

 

●かつての自転車は国産ブランドだらけだった

1970年代前後から、大人が利用する自転車も子供の自転車も日本国内で作られ、街の正規販売店で「定価(消費税なんていう制度はない)」で販売、時にお値引き交渉も聞いてもらえるという、ドメスティックオンリーと言っても過言ではないほどの需要でした。

海外ブランド製も確かにありましたが、ロードバイクもママチャリも、最も市民権を得ていたのは国産メーカー。FUJIサイクル、丸石自転車、ミヤタ自転車、ブリジストン、ナショナル(後にパナソニック)、他、自転車メーカーの戦いと言いますか、それぞれが魅力あふれる自転車を製造開発して、少年少女の心をくすぐり「パパ、あの自転車欲しい」と、TVCMを見て目を輝かせた時代がありました。今ではあのムーヴメントとCMはどこへ…?

ただし大人たちはオートバイ、クルマへの興味関心が高く、『自転車は子供や学生の乗り物』という雰囲気があったことは否めませんが、サイクリングをテーマにした漫画『サイクル野郎』(1971-1979 /少年キング連載)を筆頭に、競輪をテーマにした漫画『ギャンブルレーサー』(1988-2006/モーニング連載)、主人公が自転車好き『ママ』(1987-1992/ヤングサンデー)など、漫画を通して何かしらスポーツバイクの登場は多かったです。

(出典:株式会社ぴえろ 公式サイト)
漫画「きまぐれオレンジロード」でも、劇中で主人公・恭介がクロスバイクを乗っている。『自転車=爽やか&青春』という憧れの匂いが、当時から漫画でもリアルでも自転車には宿っていた。

 

 

●やっぱりバブル崩壊から生まれてきたのか?

1990年代、歴史の教科書にも載っちゃっている風刺ワード『バブル崩壊』で、様々な企業に経済的大打撃が襲いかかりました。クルマメーカーだけではなく、もちろん自転車メーカーにも同じことです。当時Newsでは頻繁に「町の下請け工場の現状〜倒産廃業に悩む町工場〜」のテーマで特集を組まれ、部品製造工場の社長さんが悲壮な顔をして『もう銀行も出資をしてくれなくなった…』と、手を尽くし切った落胆した声で答えていたほどです。

 

そんな中、メーカーでは「これまでと違い、いかにコストを抑え、質をなるたけ下げずに安価でご提供できる製品を作り存命するか」と「最初から安価で販売できるものを製造販売したらいいのでは?」と、いわば、”上から(良い製品の追求)見るのか、下から(部品そのものから安価で)見るのか”の、それぞれ2つの立ち位置で開発製造するようになりました。

自転車で代表的なのは「アルミフレーム」。その素材コストは安価で、しかも強度を少し高められて普段の使用に耐えられるものを開発すれば、価格は大きく下げられることから使用されました。他にもアルミ素材は多くの部品に導入、実際に発売したものも沢山ありました。

今から思えばそういった背景から、ルック車が生まれ始めたのかもしれません。

 

 

●やはり高価な自転車は丈夫なのか?

確かに良い材質で作られた部品で組み上げられた車両は、さすがキチっと走ってくれます。走行時の安心感は安全走行にもつながることでしょう。事実、シティサイクルでしっかり作られた自転車の価格は実勢平均5万〜8万くらいでしょうか。粗雑に扱うことなくトラブルなければ、長く乗車できる良いパートナーになれるかと思われます。

しかし専門性高いロードバイクを筆頭としたレースレプリカ的車両は、そもそもの走行環境を限定したモデルでかつ、そのために作られたもの(速度を上げるために作られたもの)だけに、一般使用(歩道走ったり、凹凸ある道など)には、やや向いてません。むしろカーボンフレームは、大きな段差にハマってしまった時に折れてしまうケースも多々あります。

高価だから丈夫というわけではなく、その価値がどこに置かれている車両なのかによって、お値段という数字は一緒でも、お値段の意味合いが変わってきてしまいます。

(出典:HUFFPOST)
例えばこの自転車は1500万円するロードバイクだが、この自転車で極悪路も大丈夫かといえば嘘になる

 

 

 

●結局、ルック車とはなんだろか?

「安ければ壊れやすい」「見た目パクリ」「メーカー不明やんそれ」的な意味合いで、ルック車と呼ばれてしまうのかなぁと感じます。つまり批判、総称して上から目線発言する方が、自分が『乗車されている自転車と比べた優越感情ワード』ではないのかと…。charichariはそう思います。

もし「ルック車」の単語直訳通り、”見た目だけ/パクリ/どこか真似した”という意味ならば、世の中の自転車全部、ルック車です(笑)。完全なるオリジナルなんて、どこにもありませんし、そういう登録商標ガチガチの権利製品でもないです(一部、部品ではありますが)。

今では見た目も多種多様なもの、そしてそれは走行する環境に応じて進化した結果が、現代の自転車たちです。ご自身の予算や、どんな使い方(通勤通学/趣味/業務/など)で、どんな環境(坂道多い/全天候走る/距離がある/など)なのかで、お好みの自転車をお求めになる方がいいでしょう。

「ルック車」という言葉に惑わされずに、自分専用の自転車をお選び頂くのが一番です。自転車屋さんに是非、相談して、あなたにぴったりの自転車を見つけてください。それが大事です。

 

 

 

という感じですが、いかがだったでしょうか?あまり周りの風評は気にせず、お気に入りの自転車を大事に整備してあげている自転車が一番ということです。

それでは今日も元気にいってらっしゃいっ!

 

 

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