自転車の寿命はどれくらいなのか
よく聞かれるのが「自転車って寿命とかあるの?」です。
この質問、なかなかいい質問ですし難しい質問です。「自転車の命」は製品の質、走行距離、部品の経年劣化、日々の保管環境の4つの要素が掛け合わさって変化します。1年程度で手放さないとならない場合もあれば、20年経っても現役という場合もあります。今回はこの原因と理由を順に紹介、そして買い替え目安をお伝えしましょう。
1.製品の質とは?
自転車は、その価格に合わせた材質を使ってますので、安い自転車には製造コストも抑えられた部品や材質、製造工程の人為的コストがかかってない部品、大量の製品を流通出来る部品を組み合わせて作られてます。
一方、価格が普通〜高い自転車は使用用途に応じて材質をチョイスされた部品、製造工程も人が関わり品質追求した部品、車両のバランスも考えられた作りになっています。
良し悪しは、まだこの段階では言い切れませんが、自転車の「当たり外れが多い」のは、安い自転車に多く見られることから、この質も大きく影響されているとは思います。
2.走行距離によって寿命は変わるのか?
変わります。
走行中は自転車のあらゆる場所に負荷がかかっています。その負荷を想定して各部品は作られていますが、「磨耗」「劣化」には実質、あがらうことはできません。例えばチェーンを例にしても、どれほど高級なチェーンを使用したからといって、耐久性に優れているとは言い切れなく、変速機の稼働率や踏み込み時の瞬間的負荷で「摩擦」は生じます。その摩擦から金属粉が発生し、チェーン油が汚れていきます。そのチェーン油に含まれた金属粉が多くなると、ギアやスプロケを削るヤスリ効果が生まれ、ギアの磨耗を促進します。そういった「負荷」から各部品は経年蓄積、劣化に向けて進んでいきますので、走行距離によってその劣化は比例するというのはお判りいただけるかと思います。
3.部品の経年劣化
あります。
金属製部品は使用用途により差はありますが、それよりゴムやプラスティックなどの樹脂製品の劣化は著しく、走行頻度の有無にかかわらず劣化します。例えばタイヤですが、使用してなくても劣化します。酸化劣化、紫外線劣化、光(熱)劣化など環境に左右される原因もありながら、空気圧で引っ張られている「応力」で劣化誘発をしています。「長期間、納屋でほったらかししていた自転車だけど、タイヤ溝が残っているから、まだ走れる」というわけではありません。『タイヤに亀裂が走っていたら交換』と思って下さい。
他、樹脂製の部品(グリップなど)も同じことが言えます。
4.日々の保管環境
ご存知のように風雨にさらされていると、自転車の劣化は著しいです。また海沿いなど塩害を浴びる地域では、自転車カバーをかけておかないと、すぐにサビやブレーキワイヤーの硬質を誘うことになります。
それに対して「屋根付き駐輪場での駐輪」「シャッター付きのガレージで駐輪」など、屋内での駐輪が可能な環境ほど、自転車の劣化は予防できることが出来ます。この件は「3.部品の経年劣化」に通ずるものがあります。
自転車のアンチエイジングは可能か?
可能です。整備をこまめに、劣化した部品はちゃんと交換してやることが前提です。以下のことを定期的にするだけで、愛車は長持ちします。
・洗車を定期的にしてやる / 乾いた布で拭き取ってやる。
・ギア系は古い油を「ブレーキクリーナー」などで掃除、新しい油を注油してやる。
・ワイヤー系のサビの有無、伸びてないかタレてないかを点検注油する。必要とあれば交換する。
・タイヤのヒビ、溝の有無、空気圧の点検
・ブレーキシューのチェック。磨耗していたら交換
・スポークの張り具合、リムの磨耗(指でなぞって凹みや偏った削れがあればホイール交換)のチェック
・フレームの塗装のハゲをタッチペイントなどで塗り直す。
このワンポイント整備を年3回したとしても、おそらく5年以上は長持ちするでしょう。
ただし問題はあります。それは。。。
「部品買うより新車買った方がコスパがいいやんっ」
というお話です。タイヤなどのわかりやすい消耗品は別にしても、ギアやホイールなど、単品でもまぁまぁお値段が張り、かつ「もうついでに交換しておこう」な必然性部品の発生によっては、2万円近くいってしまうことがあります。
ご自身の自転車が3万円だとしたら、買った当時の車両価格の2/3に迫ります。これはさすがに判断に迷いが出てきます。その場合は仕方ありません。新しい自転車を買っておしまいなさい。無理に整備をする必要はありません。
なぜかというと日常生活で使用する自転車は、ご自身のライフスタイルはもとより、ご予算と価値観に応じて購入しているからです。「価格が高い」「自転車1台、新車で買った方がお得」と判断されたなら是非、新しい相棒を検討するのもありだと思います。
でも今使っている自転車を修理する整備することは、乗り慣れた自転車が生き返る時を味わう嬉しさもあります。愛着が大きければ是非、整備して下さい。そうでなければ新車購入を検討してください。また事故などによるフレームが歪み、経年劣化によるフレームのタレ(踏み込んだ時の違和感 / ママチャリにはあまり感じれないと思います)したら新車購入ですので、それは仕方がありません。修理せずに即、新車購入ですっ!
しかし今度購入される時は、5-6万円付近の自転車を購入してください。シティサイクルも実はこの価格帯付近が、普通の自転車の値段です。ブリジストンやミヤタなどのH.Pでもご覧頂けますが、自転車メーカーの車両を購入すれば、純正部品を取り寄せ取り付けると、おやすく修理が出来やすいです。
高級部品を取り付ければ良いってものではなく、車両はトータルバランスです。その自転車にあった部品を取り付けることも大事ですので是非、自転車メーカーの自転車購入をお勧めします。(国産メーカーの方が、部品調達がしやすくお安いです)
ということで。
自転車の平均寿命は「わかりません。でも大事に乗っていると5年でも10年でも20年でも乗れます」です。
では今日も安全運転でいってらっしゃい!
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