リムテープってなに?必要なん?
週末にチューブ交換をしたらしい、前回登場された”やっさん”より、またご質問が届きました。やっさん、お題を続けて頂いてありがとう(笑。
リムテープは詳しく語れるほど、多く紹介できる要素はない部品ですが、そんなことを言わずにcharichariも改めての勉強がてら、皆さんと一緒に徒然とみていきましょう。
リムテープはチューブを守るための部品
まずは「リムテープって何?」という方へ。
簡単に言えば『ホイールの金属面、突起、摩耗からくるチューブのパンクを防ぐもの』となりますが、これだけでは「へぇ〜」とご返事頂き、お話が終わってしまいます。
charichariとしては、もう少し「何のために生まれて、何をして生きるのか」(©️アンパンマン)的にリムテープの役目とその命をお伝えしようかと思います。
さぁ写真を見て頂いて、リムテープはどこにある部品なのかが、具体的に見えてきたと思いますが、ご想像の通り、自転車のホイール(車輪)の外側と、タイヤとチューブが着座する大きな溝の間に位置する、水色の帯が「リムテープ」というものです。いうなれば『チューブの座布団』と言ってもいいでしょう。
次に『チューブの座布団』は、なぜ必要なのか?というお話です。
それは下の写真をご覧下さい。
まず大きな理由の一つですが、写真のようにネジのような突起が見れるでしょ?このリムとスポークの接点がホイールにはあるので、これに直接チューブが当たると…擦れてパンクしやすくなります。その原因を防ぐためにあります。
またこの写真ではネジ山が凸となっていますが(通称:シングルウォールリム)、ホイール形状によって凹の場合もあります(ダブルウォールリム)。その場合もリムテープがないと、穴のふちにチューブが擦れ、これまたパンクを誘発しやすくなっちゃいます。
特にダブルウォールリムは凹穴ですので、その穴にチューブが「型押し」みたく入り込み、走行中の振動による摩擦、ズレなどからパンクを誘発することがあります。それを防ぐため…というのが、2つ目の理由です。
*シングルウォームリム
シティサイクルなどで使用されている1層構造の汎用性高いホイール。
*ダブルウォームリム
スポーツ系自転車で使用されている2層構造の強度が高いホイール。
(自転車屋さん「ローロ」H.P.にて詳しくご紹介されていますので是非、ご覧下さい)
リムテープはPVC素材だ。だから….
なんとなくリムテープというものが分かってきたところで、次のお話は素材について。単なるゴム系なる素材ではありません。多くのリムテープ製品は、塩化ビニール(PVC)を主な素材として製造されています。なぜか?
[PVCの長所]
●耐候性に優れ、紫外線など外環境での使用にも耐えられること
●耐水性が良いこと
●難燃性が高く燃えにくいこと
●強度が高いこと
●電気を通さない素材
●加工性に優れ硬質から軟質まで製品化対応ができること
●素材が安価であること
短所は「耐熱性に弱い(65〜85℃で軟化)」というくらいでしょうか。でも今回に限っては、この短所も味方に作用してくれます。
自転車は春夏秋冬、暑い日も寒い日も外での環境にさられていますので、このPVC素材は長所、そして軟化しやすい短所も都合よく逆利用し、リムとチューブの凹凸を馴染ませれる素材としては好都合な素材なんです。
ただリム内は過酷な条件なのは変わらず、いくら耐久性が高いとは言えども、その薄さや環境から古くなると硬質化していくのは否めません。
交換頻度はどのくらいがいいのか
では交換はそれを見越して…と言う流れになるのですが、これね…「一年ないしはチューブ交換時に合わせて交換」というのがあるみたいですが、ちょっと一概に言えないんです。
というのも、日光や風雨にさらされてない駐輪場での使用なら、リムテープの寿命は伸びているみたいです。4年経っても「あれ?まだ現役…」というものも多々見かけますし、1年ちょっとで「あらまー」と言っちゃうほど、パリパリ気味に硬化しているリムテープも見ますし。どうやら普段、駐輪されている環境下によって劣化速度は大きく変わるのかなと。
一般利用する自転車においては、タイヤ交換時に交換…と言うより、チューブ交換と合わせて点検判断という感じでいいのではないかと思います。まだ使えそうなら継続使用して下さい。
あ、そうそう。
「交換しなきゃいけない状態ってどんなの?」っていうことを、もう少しお話しておかないといけませんね。失礼しました。
先述のように「もう乾燥昆布みたい」な状態は、即交換ですが、基本的にドライバーなどでリムテープを優しく引っ張り上げて(1cm程度)、まだ弾力感があれば使えます。逆に「ククっ…」っと伸びちゃって元に戻らない(引っ張り上げたままの形で元に戻りにくい、少し裂けちゃった)な場合は、その場で交換。もし最悪、手元に用意が出来てなければ、次にチューブ交換する時に合わせて必ず交換して下さい。
[余談]
やっさん「普通のビニールテープじゃアカンの?」
charichari「やってみ?ベッタベタのぬっるぬるになって、ズレまくるで」
やっさん「やったことあんの?」
charichari「ツーリングの応急で…チューブは帰るまでパンクはしなかったけど、あとで粘着取るのが大変やったんよ…」
交換方法はアレとして、サイズを確認して購入しましょう
交換することになったら、交換方法について知りたくなることでしょう。その方法は色んな方がYoutubeなどで公開されているので、そちらをご覧下さい。
…なんて「交換方法は自分でググれ」というのも、ちょっと乱暴かと思い立ちましたので、設備部品・工具・自転車組立などで知られる株式会社HOZANの、HOZAN メカニックアカデミー動画にて、ダブルウォールの交換方法を紹介している動画をご案内します。
改めてリムテープをみていただくと、新しいものは、しなやかな素材なのが分かるかと思います。これが古くなると、柔軟性がなくなってきて….極悪は「パリパリ」になります。
❶ タイヤサイズを確認しよう
リムテープは「テープ」と言っているので、セロテープみたいなグルグル巻きのものを想像しやすいですが、実は始点と終点が繋がって『リング形状』になっているものが多い(巻きテープ型もありますが、最初は難しいかもしれません)です。
リング形状のリムテープは、タイヤサイズと合わせて、各ホイールの規定外径を想定した製品づくりをしているので、お持ちの自転車に合わせて確認する必要があります。
❷ ホイール幅を確認しよう
同じく、今度はタイヤの幅…リムの幅ですね。例えばMTBとロードバイクのリム幅は違うように、ホイールも車種によって変わってきます。
実際のリム幅より細いリムテープを装着すると、走行中にリムテープがずれてパンクを誘発するケースがあります。
一概にも言えませんが、下記に車種別で多くみられるリム幅をご紹介しておきますね。
▼シングルウォール
・内側に大きな段差があるシングルの場合は、段の溝幅に合わせて、
リム内幅より細いリムテープを使います。
実際のホイールを物差しなどで計測してからご準備ください。
(大体は…15-16mmくらいでしょうか)
▼ダブルウォール *リムの内幅一杯のサイズを計測します
・ロードバイク:16mm
・シクロクロス:18mm
*注意:上記は参考です。実際のサイズは必ず計測してからご購入下さい。
❸ シングルウォール or ダブルウォールか確認しておこう
上記でもご紹介したように、ホイール種類によって変わってきます。スポークとリムとの接点ボルトが、リム内側で凸っている(シングル)か、凹っている(ダブル)か…。
この違いでリムテープの幅が変わってきます。
もし幅が合わなければ「ズレ」てしまって、凹凸が露出。その角に摩擦、パンクを誘発し無駄な出費と手間をかけてしまうので、ここだけはしっかりと押えておきたいポイントです。
サイズ選びはこうなる。適合しないと悲しいので、しっかり確認
何度も言いますが「リムテープは適正サイズが大事」です。
サイズの計測について、分かりやすく表にしてまとめました。この表はロードやクロスバイクなどで、よく使用されるダブルウォールのものですが、シングルウォールでも大体の目安になるだろう(cf: シングルの場合は、これより細い)という目測にはなるかと思います。
どちらのホイールタイプにしても、正しい計測確認は必要ですので、お買い求めされる前には、必ずご注意ください。
[最大空気圧の意味]
ダブルウォールリムの場合、先述のように「穴にチューブが侵入する」というのを防ぐためにリムテープは存在しますから、チューブの圧力に耐えられる空気圧の基準数値ということになります。
高価な製品もいいけど、それよりマメに点検することが大事
一般的なママチャリ、シティサイクルで使われている汎用リムテープ単価は、ホイール1つに対して¥200円未満〜¥500程度。それ以上になると、何かしらの付加価値があります。軽いけど厚いものや、薄くて硬めなもの etc…色々と製品の個体差があります。
ただ「値段が高く高品質」ものは、適正適所には素晴らしく効果を発揮してくれると思いますが、私たちが日頃使用している公道や日常での乗車には、それほどこだわる必要はありません。もしこだわるなら先述のホイール形状「シングル」か「ダブル」かの違いを見極めてジャストサイズな製品選びをすることと、交換時期を見極めて整備することにこだわって下さい。
下記にリムテープをメーカー別でご紹介します。
気になるブランドあれば、メーカー名をクリックして頂ければ、AmazonのリムテープLine Upページにジャンプします。
▼ シュワルベ(SCHWALBE)
自転車などの軽車両タイヤ、まつわる部品を製造販売している約100年の伝統を誇るドイツメーカー。流通力を活かし、日本でも定評ある製品ラインナップが魅力。
▼パナレーサー( Panaracer )
パナソニック系列の自転車ブランド。創業者/松下幸之助氏が、自転車店の丁稚奉公をしていた過去があり、自転車への思い入れが強く立ち上げたブランド。タイヤを中心にした製品の開発製造、販売を行なっている。
▼ゼファール (Zefal)
自転車部品全般を製造販売するフランスのメーカー。1935年から続き(1990代に社名変更し現在に至る)、ヨーロッパ、日本でもファンが多いドップブランド。
▼シマノ (SHIMANO)
自転車部品、釣り具を製造販売するメーカー。スポーツ自転車部品の世界最大手企業の一つ。製品品質に定評があり、おおよそ日本で製造販売されているシティサイクル車からスポーツ自転車までの部品で、シマノのロゴを見ないものはないと言っても過言ではない。
▼そのほか
・IRC (井上ゴム) … オートバイや自転車などのタイヤを製造販売するメーカー。
事業者向けに販売するタイヤブランドとしては国内トップクラス。
・ブリジストン… ほぼ全ての車両のタイヤを製造販売するトップメーカー。
老舗メーカーだけあり、まつわる製品はなんでもある。
*その他、キャプテンスタッグやミリオン(共和)など、商品をリリースしていますが、これらのメーカー製品を買い求めるなら、業務製品の販売を得意とする「モノタロウ」でお買い求めされるといいかと思います。
という感じでしょうか。
Webで購入できるリムテープのブランドは、上の最初4社が、私たちとしてはラインナップが豊富で選びやすいです。一度ご覧ください。
[補足]
巻きテープ型のリムテープを入手した場合、少しコツがいります。ポイントは『バルブ穴を避けて始点を決め、一周したらバルブ穴の手前で終点を迎える』『優しく均等にまっすぐ引っ張る。引っ張りすぎや、優しすぎると、使用中にズレたりちぎれやすくなる』です。頑張ってください。
つーことで、リムテープはタイヤやチューブ交換時に要確認ってワケで
いかがだったでしょうか?
リムテープは伸縮性がありますが、装着時に強く引っ張ると、ちぎれてしまうことがあります。どうしてもハマらない…という場合、ヘアドライヤーを使って温めながら伸ばして装着し、装着したら再び、まんべんなくドライヤーで整える…というやり方もお伝えさせて頂きます。
それでも難しい…という場合は、自転車屋さんに「すみません…頑張ったんですけど…泣」と相談してください。きっと優しくお手伝いしてくれると思いますよ♪
それでは今日も元気に行ってらっしゃい♪