「フレーム❸ 点検」
今回はフレームの点検方法をお伝えします。
普段はタイヤ、そしてチェーンやスプロケといった部品について紹介されていることが多く見られますが、そもそもフレームがあってこその各パーツ。フレームがなければ部品は装着できません。それに乗れません。
この大事な屋台骨があってこその「自転車」です。とはいえ気軽にホイホイと変えられないし、ほとんどの方が『一点物』の勢いで使用されているのが現実。「フレーム、カーボンにしてみてん」とか、ちょっと変えてみた的なノリの方は…そりゃいらっしゃいますけど、さすがにママチャリのフレームでカーボン製品はないですし、軽快車でもされている方も非常に少ないはずです。
ということは、自転車フレームでガタると、どうしても「買い換えたほうがラク(&安い)」となるのは、仕方がないお話だと思います。
で、そのフレーム。まず「故障及び損傷」と言えるケースはどう言ったものか?それをあげてみましょう。
1.折れた
2.亀裂が見つかった
3.事故で曲がった
4.その他(一部大きく凹んでる/末端がサビで腐食/etc)
ということでしょうかね。こういう場合は交換…というか、買い換えされる方がほとんどでしょうね。フレーム修理は損傷の程度によりますが、概ね¥10,000未満〜¥40,000ほどかかります。思い入れある自転車なら是非、修理して頂きたいですが…軽快車には、なかなかどうしてと考えてしまう修理価格なのも分かります。
●高級自転車ほど折れやすい傾向

フレームのつなぎ目部分は加重が集まる場所。毎日の点検で見るポイントの一つだ
(出典:Bandage a Broken Bike Frame)
…悲しいかな多いです。しかも軽量であればあるほど、です。「そんなバカな」と言いたい気持ちはわかります。『何枚の諭吉の支えで、この有名メーカーの自転車に乗れてんだよ。そんなに儚いものなのか諭吉…』と、凹む方を数人見てきたcharichariです。これには理由があります。
ー 高級自転車のコンセプト
高価格の自転車は『限界まで詰めた職人技の結晶、ついに製品化』というものにつき、もともとが『その目的のために作られたものであり全てのシーンで最強とはいかない』のです。もう少しわかりやすく言えば…”ビジネス用革靴で山登りは出来るっちゃ出来るけど、靴が負けるか足が痛むか。。。鶏が先か、卵が先かのお話”ということです。
ー 高級自転車の利点
一般使用に向けてレプリカ開発はされているだけに、そのポテンシャルはけたたましく優秀です。今までママチャリに乗っていた自分が、なんだか損していた気分になります。この感覚と移動時間の短縮には、さすがに「お金で買えない価値はない!けどこの感覚はプライスレス!」と思ってしまうほど感動します。
ー 高級自転車の欠点
その分野の走破に対して優秀な性能を持つ高級自転車は、現代技術における”その分野”の最高峰だけで万能ではない。追求した技術の結晶の美味しいシーズンは2-3年程度。もちろんそれ以上も使えるが、繊細な車両につき、こまめなメンテナンスが必至です。
もう書いていて、目の敵的な文章になってきました。
「じゃあ、安い自転車は強いというのかぃ?(苛)」というお声も聞こえてきましたので、お伝えしますね。
ー低価格自転車のコンセプト
「安くお求めやすく組み上げた」自転車につき、すべての部品は製品規格をクリアすればOKというもの。例えばボスフリー製品でも、低価格自転車を定期台数製造するにあたり、スプロケ製品「1ロット/〇〇〇〇個」などでメーカーに依頼して製造、もしくはそのサイズ規格に合った自転車の種類を統一させ、価格を抑える工夫がされている。
ー低価格自転車の利点
とにかく安い。十分乗れます。スーパー、コンビニなどの移動手段として、何ら不自由はありません。むしろ「これが自転車の定価!」と脳内価値基準設定出来ちゃうほどのスペック。お!値段以上の能力は求めてないし、むしろ普通…そうこの普通が一番いいのさ。少々サビがあっても気にしないし、仕方がないやん?と割り切れます(良いことではないですが)。
ー低価格自転車の欠点
製品個体別に個性がありまくり。納品時の組み立て中、時々すでにフレームが歪んでいるものもある。
つまり、高かろうが安かろうが、フレームの点検はおろそかにせず必要なことは変わりないのですが、低価格自転車の使用手段が「チョイ乗り」なので、長年持ちやすいのかもしれません。それにしても丈夫なものもありますが。
●フレームの寿命
先述の後半は、フレームのお話から少し外れていってしまいましたので本筋に戻します。現在フレームにはいろんな種類とそれに応じた材質が出ています。
ークロモリ (美味しい寿命:約6-7年)
鉄パイプと思ってもらってOKです。鉄は性質上、衝撃を吸収しかつ、丈夫です。大きな衝撃がない限り破断しません。長く乗りたいとしたならば、クロモリフレームがオススメです。
ーアルミ(美味しい寿命:約4-5年)
軽量で丈夫。ただし丈夫といっても「軽量の割には」という曰く付き。元々レース向き(消耗品として使用)の素材として広まった材質です。本来、一般車には向いていないですが、「錆びにくい」理由で使用されてます。かつての時代よりかなり丈夫になったとはいえ、アルミはアルミです。
ーカーボン(美味しい寿命:約3-5年)
現存する素材で最軽量で構築できる材質。完全にレース向きです。そもそもカーボンは繊維を樹脂で塗り固められたもの。その材質からボルト締めがある一定以上の締め付けをかけると割れる。日常で初心者が整備使用するには最高に向いていない素材です。
それぞれの寿命期間は、使用環境や距離、運転者の重量などで変動します。しかし概ね、この期間かと思われます。
●寿命や劣化、過度の負荷がかかるとどうなるの?

(出典:NEVERまとめ)
こうなります。
これはプロレース中の1カットですが、ヘッドチューブ周辺の損傷でしょう。ハンドルにかかるプレッシャーと、ペダリングによるパワーとの方向が、一気にヘッドチューブに集中して、ひねり破壊を起こしたのかな…と、思われます。
一般でもフレームの損傷から招いた事故は、近年増えています。理由は自転車のブランドが増えたこと、自転車ブームのあおりで売りすぎなことだと思います。利用人口が増えると比例して件数が増えるのは仕方ありませんが、未然になんとかならんのか…と思うのも事実。しかも自転車は2輪車です。いきなりフレームが破断したらコケるしかありません。もしくはすっ飛びます。それで重傷重体、もしくは死亡された方もおられます。
「平成30年度自転車重大製品事故情報<消費者庁公表>の収集について …」
●事故を未然に防ぐために
乗車前のフレーム点検は以下の手順です。

1.フレームの塗装に亀裂がないかどうか
2.亀裂があったら、周辺を指でつま弾くように爪で弾き、叩き比べて下さい
3.「コ(キ)ンコ(キ)ン」という音が普通の音なら、異音との変化に気づくとおもいます
4.その中で異音がしたら直ちに自転車屋さんへ行って下さい
ただ接合部位は「コンコン」というか『コツコツ』と身が入った音が鳴ります。お間違いなきよう。
さらに以下の方法も使える方法です。
1.車の固形ワックスを全体に塗って下さい。(コンパウンドでもOKです)
2.乾いたら普通に拭き取って下さい。
3.拭いたにもかかわらず、膨らみやキズなどの段差による拭き残しが残る場合、疑って下さい
4.その場所を軽く叩いてみて異音があれば、何度か叩いて場所を「特定」してください
5.特定したらその部分をマーキングして、自転車屋さんに持って行ってください
またサドルに座りハンドルバーを軽く自転車を「ひねる」イメージで力をかけてやった時に「ギシっ」「ギッギ」などの金属異音がする場合も疑ってみてください。
さらに乗車して「うんこらしょ」とサドルに座る勢いを強めにして座った時に、「ギ」「ギュギュ」という音がしたら、シートポストや各接合部など、音の発生方向に応じて目視&検視してください。
そうそう、走行中に折れる音ですが、charichariの知人から聞いた話によると、「メ…キーーーン!」「ビビビキッ」「グキン」とかそんな音だったそうです。カズくん、無事でよかったねぇホントに…
●おまけ:金属についてダラダラトーク
charichariは変な趣味がありましてね…金属萌えというか、好きなんですよね。こういう類いの話。フレームについての回だけに、思い立ったので、少し金属のお話にお付き合い下さい。(興味がなかったら、これから先は読まなくっていいですw)
ー 鉄は金属の中でも固くしなやかな金属素材です
いやかつて…と言いますか、今でも「アルミ」を使っている製品や商品は多いのですが、自転車も含む乗り物には「鉄」を使うべきだと思うんですよね。鉄の特徴は「固い」「強い」「しなる」が長所。対してアルミ合金は「軽い」「固い」「安い」が長所なんです。
ほとんどのクルマやオートバイ、そして振動が多く発生する装置で丈夫さが求められる製品に「鉄」を使います。これは「鉄」の振動吸収性、耐久性が必要とされ、その分壊れにくい(壊れないわけではない)製品として長年、愛用もしくはトラブルが想像以上に避けられるからです。
特にクルマやオートバイの走行中の振動は、その車両重量や走行速度により、非常に細かな振動が頻繁に発生してます。またコーナリングによる加重移動もあり「捩れ(よじれ)」も発生します。この捩れがないとクルマやオートバイは、進行方向に対してしなやかに直進してくれません。
想像してみてください。クルマの場合、多くの乗用車にはエンジンが前にあります。そのエンジンの本体重量は2000ccクラスだと200kg程度あります。その重量が山道などで下り走行している時のカーブでコーナリングした場合、約200kgが遠心力で車両の外側へ重心移動します。そのエネルギーたるや相当なものです(もちろんそれ以外の重量もあるので、実際はもっと大きな重量がかかっています)。
その重量エネルギーをボディが受け止め車体フレームに分散、サスペンションからタイヤまで伝わり耐えてくれている時、フレームは加重に逆らわず「捩れ」ます。この捩れがあるから前に進もうとする反発力が生まれ、直進性が高まるのです。
ーアルミは捩れる前に破断する
一方、アルミ合金は「捩れ」ません。なのになぜアルミ合金がいろんな所で使われているのでしょうか?それは「軽い」「安い」からです。1990年ごろまで、適材適所といったコンセプトで「アルミは使い捨て。耐久性がいる製品では極力使用しない」というモラルというか常識がありました。
しかし1990年過ぎると、不景気も相まって「コストが抑えられかつ、性能を上げるには」という革新性を求められる時代と風潮になりました。それまでは『適材適所』、『一時的に軽さを求められるものには使う』というポリシーだけに、アルミ合金は航空機(部位によってはカーボン)、レース車両(使い捨てだけに)など主に使われていた技術を、一般に使用するということを発想されてしまったのです。
飛行機、新幹線、クルマ、オートバイ、自転車、電化製品や調理器具など、何かと「アルミ合金」が使われます。しかし先述のように「思いのほか壊れやすい」「なんか故障が多い」「車両に亀裂が云々…(Newsで)」という話を聞くたびに、もしかしたらそうではないかと思ってしまいそうになります。
ー捩れない製品はコーナーを曲がれない
クルマはもとよりオートバイも自転車も、よじれてかつ、振動を吸収し反発したエネルギーを進行方向へ力を流すことが大切です。捩れ、しなりがないボディだとハンドルをきっても、オートバイを倒してコーナーに入っても遠心力と、自らの重心加重によってタイヤがグリップできずに曲がりにくい。だから、しなりと捩れがある鉄、鋼を使っているんです。
アルミボディのスポーツカーは国産や輸入車でも見かけられますが、この現在においてガッチガチのフルアルミボディは、一般乗用には向かないこと、メンテナンス費が非常にかかることもあって、限られた高級車だけになっているはずです(車両コントロールを車載制御装置で賄うモデルが多いです)。
自転車はクルマやオートバイに比べて軽いから大丈夫…という話が出てきそうですが、自転車はクルマやオートバイに比べタイヤは細く浅いので、その分振動もそれなりにあります。特に「700 / 25c」などの細いロード用タイヤなどを使っている自転車には、震動はフレームに響きやすいです。街乗りで使う自転車なら「700 / 32c」以上のタイヤを使った方が向いていると、個人的には思います。
適材適所。
この言葉は、最近のロードバイクに使われていることが少なく…というか、乗り手が高級車を好んで購入することは趣味として良いのですが、あくまでレース目的に製造されたものだということを知った上で、楽しんでほしいなぁと思うわけです。安価な自転車も同じで、お値段以上の性能はないですし安全性もそれなり。両方に通じるのは「日々の点検」です。
鉄の状態、アルミの状態、時々気にかけて物を大事にすれば、ほぼ事故は未然に防げます。
ああ…いっぱいダラダラ語っちまった。ちょっと持論も入っているので、なんとも参考になるのかな?とも思いますが、何かの知識の出汁になってくれれば幸いです。
それでは今日も元気にいってらっしゃい!